【インタビュー】Ms.OOJA、3枚組ベストアルバムから紐解く歌声の歴史と武道館への想いを語る

2022.02.17

取材・文:後藤寛子

昨年デビュー10周年を迎え、毎月新曲をリリースするなど、精力的な活動を展開しているMs.OOJA。13ヵ月連続リリースの締めくくりとなるベストアルバム『10th Anniversary Best 〜私たちの主題歌〜』は、シングル曲はもちろん、カバーやコラボ曲まで、10年間の多彩な楽曲を詰め込んだ3枚組という大ボリュームに仕上がった。

現場第一でファンとの絆を培ってきたライブ、さらに、時代を越えて楽曲を表現するカバーや、名だたるヴォーカリストたちと競演してきたコラボなど、他面的なアプローチで無二の歌声を磨きあげてきた彼女。初の武道館公演を控える今、改めて歌との出会いから変遷、そして未来への想いを語ってもらった。

年を重ねていったときに、もっと深みや表現力を増していけたらいいなって、個人的にもすごく楽しみにしています。

──デビューからの10年をベスト盤という形でまとめてみて、ご自身の手応えとしてはいかがですか。

Ms.OOJA 改めて振り返って曲を聴いて、なかなかちゃんと仕事してるじゃないかって(笑)。今までやってきてよかったな、間違ってなかったなと思わせてくれるような作品になったと思いました。200曲近くあるので、曲をセレクトする段階で本当に悩んだんですけど、今までのMs.OOJAをちゃんとお届けできて、なおかつひとつの作品としてもクオリティの高いアルバムになっていると思います。

──2016年にもベスト盤『Ms.OOJA THE BEST あなたの主題歌』をリリースされていますが、やっぱりまた違う感覚でした?

Ms.OOJA そうですね。あのときは5年目ということもあって、わかりやすくMs.OOJAっていうものを皆さんにお届けして、知っていただくためのベスト盤として、ちょっとコンパクトな作品になっていたんです。でも、今回は10年目ということで、各CDの収録時間ギリギリまで使ってフルボリュームで作ったので。皆さんにとってもメモリアルなもの、記念品みたいな感じで楽しんでいただけたらいいなという思いがあります。

──タイトルが『あなたの主題歌』から『私たちの主題歌』になっているのも納得ですね。

Ms.OOJA ファンの方がいらっしゃらなければ、Ms.OOJAとして歌を歌い続けられないし、歌っていく意味もないと思っているので、『私たちの主題歌』っていうタイトルはすごくしっくりきていますね。曲をリリースしてファンの方に届けた先で、ひとりひとりの方のいろんな思い出と一緒に曲が生き続けていってるんですよね。そういうエピソードをファンの方から募って、その話をしながらライブを配信するみたいなイベントをやったんですが、そこで皆さんがMs.OOJAの曲とどういうふうに一緒に過ごしてくれているのかを実感したのもあって。『私たちの主題歌』という想いはどんどん強くなっています。

──DISC-1はシングル集ですが、デビューシングルの「It’s OK」から順番に並べてみて、歌声も変化してると思うのですが、ご自身で分析するといかがですか?

Ms.OOJA その時々によって、声質も違うし、歌い方もやっぱり全然変わってますよね。昔は、もう“がむしゃらに歌う”みたいな感じだったんですけど、それはそれですごく良さがあるし。今はいろんなところで歌わせてもらったり、場数を踏んでテクニック的にも心的にも余裕ができている部分があったりするので、そういうところで成長を感じます。声って、やっぱり年齢とともに変化していくものだと思っているので、その変化を楽しみながら歌っていけたらいいなと思ってるんです。最近、メアリー・J. ブライジが出した曲を聴いたんですけど、今彼女は50代で、歌声に凄みが増しているのがすごくカッコいいなと思って。そういうふうに歌っていきたいなってすごく思います。

──ご自身でも声の変化は感じますか。

Ms.OOJA そうですね。今、30代最後の年を迎えているところなんですけど、今が一番いい歌を届けられる状態だと思ってるんですよ。昔がむしゃらに歌ってたところから、ちょっと力を抜きつつ、ちゃんと力を入れるところを心得て歌えているので。この状態をいかにキープしつつ、良くしていくかが課題になってくると思います。さらに、ここからどんどんエイジングしていくというか、年を重ねていったときに、もっと深みや表現力を増していけたらいいなって、個人的にもすごく楽しみにしています。

──変化を楽しんでいるんですね。そもそもを振り返ると、シンガーを目指したときに影響を受けたアーティストは誰でしたか?

Ms.OOJA メアリー・J. ブライジもそうですし、アリシア・キーズをすごく聴いていて、こういうふうになりたいと思っていました。アリシアはほぼ同年代なんですけど、それこそ最近出したアルバムでは曲調もだいぶ大人っぽくなってきていて。もともとアリシアの持っているものをベースに残したまま、ちょっとチルな、落ち着いた音楽になっているのですごくいいなと思いました。影響を受けたアーティストが未だにいい歌を歌ってるっていうのは励みになるし、いい年の重ね方をしていると、私もそこに追いつくために頑張ろうと思いますね。

──当時、アリシア・キーズに惹かれたポイントというと?

Ms.OOJA やっぱり、ピンで歌っている女性シンガーがすごく好きだったんです。中でもアリシアを好きになったのは声質ですね。あと、曲調も哀愁のある曲が多くて。R&Bとかはそうなんですけど、哀愁っていう部分に昔から惹かれるところがありました。最近になってわかったことなんですけど、子供の頃から歌謡曲だったりを母親の影響で聴いていたから、たぶん、それがベースにあるんですよね。それで、アリシアが作るちょっとマイナーコードな曲に惹かれていたのかなと思います。

──もともと自分で歌うことも好きで?

Ms.OOJA すごく好きでした。子供の頃から、家でもずっと歌ってたし、歌を歌うことが息を吸うみたいな感覚で。誰に聴かせるわけでもないけど、ずっと歌を歌っていたので、いつか歌手になりたいなあって思っていました。聴くのもガンガンに歌い上げる歌モノが好きで、ソロの女性シンガーの歌ばっかり聴いてましたね。最近は、そこも年齢的なものなのか、家に居るときはインストの音楽を聴いたりするようになりましたけど。

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