取材・文:鈴木 瑞穂(Vocal Magazine Web)
撮影:HayachiN
ライブ前日も“お酒飲んじゃった……”と神経質になるより、皆とのご飯の時間を楽しみたい。一番大事なことはメンタルだと、歌い続ける中でたどり着いた。
──3曲目の「愛にならなかったのさ」は、切ない感情がリアルにつづられた、大人の恋愛を描いた1曲ですね。
HARUNA すごく共感できるなって思いました。でも若いときだったらきっとMAMIもこの歌詞を書けなかっただろうし、自分もあまり理解できなかったんじゃないかな。いろいろな人生経験を積んできた今だからこそすごくわかる。でも、共感しながらもちょっと冷めた気持ちで歌いました。
──ちょっと冷めた気持ち?
HARUNA MAMIからもあんまり重くなり過ぎないでほしいって言われてて。曲はバンドサウンド的に盛り上がってはいくんですけど、ラブソングと言えどもちょっと寂しいというか、なかなか温かい曲ではないので、あんまり盛り上げ過ぎずに歌ってほしいって言われてましたね。
なので、あえてあんまりニュアンスをつけてないテイクを使ってます。特に頭の4行は自分の歌とギターだけなので、もう少しニュアンスをつけて歌っていたテイクもあるんですけど、そうじゃないほうを使ってます。優しいけど温かくない、まさにこの歌詞の感じを表現できたなと思います。
──4曲目から7曲目まではそれぞれのメンバーが作詞作曲とメインヴォーカルを担当し、バトンを繋いでいきます。
HARUNA もともとは私が歌う想定で曲を書いてくれるんですが、この3曲に関しては3人じゃないと表現できない良さがあったので、それぞれがヴォーカルをとることになりました。
──HARUNAさんはみなさんの歌声をどのように感じてますか?
HARUNA みんな違ってみんな良いと思いますし、すごく遊び心もあるんですよ。私にはなかなかできないなと思う表現もあって、尊敬することばっかりです。
──MAMIさんがヴォーカルの「アイボリー」は、途中からHARUNAさんのハモリが入ってきます。レコーディングはMAMIさんと向かい合って録られたそうですね。
HARUNA そうなんです。歌ってる中で目が合うと自然と笑顔になるんですよ。歌詞と睨めっこして歌うときよりも、表情の柔らかさが歌の表現にもプラスされたなって思います。
──HARUNAさんはレコーディング前に発声練習をしますか?
HARUNA そんなにしないです。発声練習を人に聴かれるのがなんか恥ずかしいんですよ(笑)。歌いながら温めていきますね。
──喉ケアで気をつけていることは?
HARUNA それも全ッ然ないんですよ(笑)。私は神経質になればなるほどダメで。なのでライブの前日も、あまり量は飲まないようにするけど、お酒が飲みたかったら全然飲みます。気をつけてるのは加湿ぐらいですかね。
──前日にお酒を飲んでもいけちゃう感じですか?
HARUNA ご飯を食べながらおいしくお酒を飲むぐらいだったら良しとしてます。“お酒飲んじゃったから大丈夫かな……”って神経質になるより普通に“ああ、美味しいな〜”って思いながら楽しく過ごせることが何よりも大事だと思ってるんで。
──ツアー先でも、ひとりだけホテルに帰ってコンビニでご飯を買ってお風呂に水張って……というヴォーカリストの方もいらっしゃいますよね。
HARUNA いやいや、全然嫌です(笑)。もともとそんなにしゃべるタイプじゃないので、そこまで喉を消費するまではしゃべらないですし、それよりも皆と楽しくご飯食べたいです。
もう本当に、メンタルさえ保っていればなんとかなるんだなと、歌い続けてきて辿り着きました。もっと神経質になってた時期もあったんですけど、そのほうが苦しかったです。あっ、でもめぐりズムの「蒸気でアイマスク」あるじゃないですか、あれで喉を温めるようにはしてます。
──「eternal」のレコーディング映像でも、喉にアイマスクをつけているところが映ってますよね。
HARUNA 1時間くらいですぐ温まるんで、ライブの1時間前になったらあれをつけます。けっこう心配されるんですけどね。「首、なんかやっちゃったんですか?」って(笑)。
──レコーディング時に愛用してる飲み物はありますか?
HARUNA yogiの「スロートコンフォート」っていうハーブティーがあるんですよ。その名の通り、喉を保護してくれて、味もすごく美味しくて。それはレコーディングもライブのときも毎回飲みます。10年くらいずっと飲んでると思いますね。