【インタビュー】w-inds. 2人の歌声が生み出す新たな歌詞世界と鋭敏なサウンドの響き(撮り下ろし写真掲載)
2021.12.6
取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)
撮影:菊地英二
当時から、“2年後には確実に自分の理想の声になる”ってSNSに書いていたんですよ。
──「DoU」では、今回のアルバムで涼平さんからの歌い出しにリアレンジされていますよね。ここの歌い回しはマイケル・ジャクソンのようにカッコ良かったです。
千葉 そんな僕“フォー!”って言ってましたか?(笑)
──いえ(笑)。語尾のカットや息の入れ方にとてもグルーヴを感じたのですが、歌い回しはどのように考えていったんですか?
橘 もともと僕が歌っていた部分で、そういった歌い回しだったんで涼平くんにも入れてもらいました。あれがあるのとないのとで曲の雰囲気が全然変わってくるんで。
千葉 前回のオンラインShow(『20XX“THE MUSEUM”』)の時に(新しい歌割りの「DoU」を)もうやってました。でも、その時は(息入れ)なしでやったんだよね。でもCDになる時に“あるほうがいいね”って改めてなって。まあ、もともと(慶太くんの歌い回しで)ずっと聴いてきたものではあるので。
──オンラインShowでは初期の曲も披露されていますよね。慶太さんが初期の曲の高音部分を、2018年のライブではファルセットで、前回のShowでは地声、または地声の強さに近いミックス・ヴォイスで歌っていて、年々パワーアップされているなと。
橘 そこは研究ですね。キーを上げることに関して言うと、歌い方やしゃべり方といった自分の声帯の使い方にはクセがあるので、正すにはけっこう時間がかかるんですよね。僕は2018年くらいまで、ヘッド・ヴォイスをよく使っていたんです。もともと僕はチェスト部分が強いので、ヘッドを鍛えていくと次にチェストを出した時にミックスになりやすい。逆にチェストを使い続けてミックスをアプローチすると、チェストってボディ・ブローのように喉に負担がかかるんで、どんどん苦しくなってしまうんですよね。そういう意味で、3年くらいヘッド・ヴォイスの練習をしてました。
当時から僕は、“2年後には確実に自分の理想の声になる”ってSNSに書いてたんですよ。そうしたら社長に“お前、2年後とかそんな先のこと言ってんじゃねえ、プロなんだから今すぐやれ!”って怒られてたんですけど(笑)。さすがにちょっとそれは無理なんですよとか言って。あはははは! まあでもおかげさまで自分のプラン通りミックスが強くなったんで、正しいアプローチだったなと今でも思います。
──あえてヘッド・ヴォイスで歌っていたんですね。
橘 そうです、あえて。例えば2年間活動を休んで、その間にミックスにすることはできると思うんですけど、僕たちは本番をやりながらだったので、チェストで苦しめるよりはヘッドを鍛えていってミックスに持っていくというプランでした。
──今はもう理想形に近い形ですか?
橘 けっこう近いです。でもここから倍音を増やしたいとか、まだいろいろとありますね。
──今回のアルバムを聴く中で、モーリス・ホワイト(アース・ウィンド&ファイアー)のファルセットへのリスペクトも感じるのですが、やっぱり意識の中にありますか?
橘 もう小学生の頃から大好きで、モーリス・ホワイトに憧れてw-inds.の2nd ライブで「After The Love Has Gone」をカバーしたくらいです。当時17、18歳くらいで、w-inds.はめちゃくちゃアイドルだったので、会場は静まりましたけど(笑)。ちょっと渋すぎましたね……。
千葉 ファンもみんな若いからね。
──「Show Me Your Love」や「DoU」では、コーラスワークも含め、アースのDNAを感じました。
橘 コーラスの“厚み”ですよね。わかります。僕、大好きなんです。
──涼平さんはどんなヴォーカリストにルーツがあるんですか?
千葉 いるのかなあ……。おお、いるじゃん!(慶太さんを見る)
橘 俺なの!? まさかの!?
千葉 楽曲をやりながら、“ここのニュアンスはこういう感じでやってみてくれない?”って楽曲を作ってる慶太くんのイメージに一番近いものを探りながら作ってるので。まあルーツじゃないですけど。
橘 涼平くんのレコーディングは僕が録ったりするんで、まあ確かに僕のスパイスは入ってきているかもしれないですね。