【インタビュー】クリス・ハートが語るヴォイストレーニング。“ヒットする声を作るんじゃなくて、その人にしかない宝物を探したい”

取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)

11月16日にカバーアルバム『Christmas Hearts 2』をリリースしたクリス・ハートに、今回はヴォイストレーニングについて話を聞いた。自身もヴォイストレーニングを通して大きな変化を感じ、後にトレーナーの仕事も始めることになったという。

クリス・ハート独自のメソッドから、個性を持った歌声の作り方、マッスルメモリーを育てる方法、緊張して思うように歌えない場合の改善策を教えてくれた。

よく“ヴォイスビルダー”と言われます

──クリス・ハートさんはもともと、ヴォイストレーナーのお仕事もしていたんですよね。

クリス・ハート(以下、クリス) 2009年から2年ぐらいヴォイストレーニングに通って、途中からヴォイストレーナーの仕事もやるようになりました。

──ヴォイストレーナーのお仕事は、2013年のデビュー以降も続けていたのですか?

クリス デビューしてから2〜3年はやらなかったけど、今でもインディーズアーティストを3人ぐらい教えています。

──レッスンでは、ご自身が受けていたトレーニングのメソッドを教えているのですか?

クリス はい。横隔膜の使い方やコアトレーニングを教えながら、その人の歌い方と個性を作るというメソッドです。だからよく“ヴォイスビルダー”と言われます。

──それは、身体を楽器として作っていくという考え方ですか?

クリス そうです。まず、筋肉やブレスのコントロールを教えてから、その人の声やスタイルでできることをアドバイスします。スポーツトレーナーと同じような感じです。

──やはりヴォーカリストはアスリートと共通する部分も多いのでしょうか。

クリス ブレスコントロールも、筋肉の使い方も、リラックスしなければいけないところも、アスリートと一緒ですね。メンタルも繋がっているから、ギリギリスピリチュアルみたいな感じかもしれません。

──クリス・ハートさんが初めてヴォイストレーニングを受けたときにも、すぐに曲を歌うのではなく、身体を作ることから始めたのですか?

クリス 数ヵ月間、発声練習だけをやっていました。映画の『ベスト・キッド』みたいに何回も何回も同じ動きをやって、気が付いたらうまくなっているような感じです。発声練習だけやっていると、“もっと高い声が出せるんだ”とかいろんな発見がありました。当時僕はずっとロックをやっていてGACKTさんみたいな低い歌声だったんですけど、レッスンの影響で半年ぐらいで高音が出るようになって、そこから歌い方も全部変わりました。

──最初の発声練習では、どんなことをやったのですか?

クリス 横隔膜のコントロールと顔の筋肉の使い方を学んで、ベロをリラックスさせました。次に、そのスキルをどうやって曲に使うかという流れでしたね。

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