【ヴォイストレーナーインタビュー】清水ブルー(CLARITY ARTS SCHOOL/東京)

取材・文:藤井 徹 撮影:ヨシダホヅミ

Vocal Magazine Webでは、全国各地の優秀なヴォイストレーナーさんを講師に迎え、2022年より「歌スク」というオンラインレッスンのサービスを展開してきました。残念ながら「歌スク」のレッスンサービスは2024年3月で終了となりますが、これまで同様にVocal Magazine Web誌上で歌や発声のノウハウを教えていただける先生として、さまざまな形でご協力いただく予定です。

読者の皆さんの中にも「歌を習いたい」、「声を良くしたい」とスクールを探している方は多いと思います。その際に、ぜひ「歌スク」の先生の素晴らしさを知っていただきたいと思い、各先生のインタビューやプロフィールを掲載させていただきます。読むだけでも役に立ちますし、トレーナー選びの参考にもお役立てください。

今回登場いただくのは、ミュージカル俳優として活動後、CLARITY ARTS SCHOOLでミュージカルのプロデュース、さらにヴォイストレーナーとしても活躍中の清水ブルー先生です。

講師プロフィール

清水ブルー

Clarity Arts School

清水ブルー_01

ミュージカル俳優を経て舞台演出、プロデューサー、ヴォイストレーナーと幅広く活躍。マーケティングに長けた知性派のレッスンに刮目せよ!

東京都出身。中学時代に『CATS』を観てミュージカル俳優を志す。早稲田大学の在学時より100人規模の団体を立ち上げて自主公演を行ないながら、『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』などに出演。30歳を過ぎてからは舞台やYouTubeのプロデュースを数多く手掛ける。所属するClarity Arts Schoolでは、Webマーケティングを本業としつつ要望が多かったヴォイストレーニングも担当。最近はおもに解剖学をもとにしたトレーニングについて、定期的にトレーナー仲間と勉強会を開催している。

ジャンルJ-POP、ロック、R&B、ジャズ、アニソン、ボカロ、演歌、洋楽、アイドル、K-POP、ミュージカル
好きなアーティストado、BTS、TWICE、LiSA、玉置浩二、石川さゆり、ニーヨ、ブルーノ・マーズ、シーア
趣味アニメ、ゲーム、映画鑑賞、音楽鑑賞、韓流

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講師からのメッセージ

ようこそ!! このページを見ているということは自分の歌をよりうまくしたい向上心の塊の方ですね!? 僕は発声改善・表現力向上をオールジャンルで得意としています。今まで2,000人以上のレッスンを行ないましたが、人の成長ルートは本当にさまざま。そしてレッスンは「診断が命」です。診断を間違えば効果は表われません。歌の限界を感じて苦しい思いをしてきた方におススメです。声に自身が持てない方はぜひ一度診断させてください。足りないピースを埋められるかもしれません。

CLARITY ARTS SCHOOL

■スクール名   
CLARITY ARTS SCHOOL

■スタジオ  
所在地:東京都港区赤坂5-4-17 前田ビル4F 
TEL:03-5544-8247

講師:尾川詩帆(ミュージカル、クラシック)/木内栞(ミュージカル、ポップスシンガー)/鈴江真菜(ミュージカル、クラシック)/中原信貴(ポップスシンガー、キッズボーカル)/長谷川ゆうり(ミュージカル、ポップスシンガー)/福山裕子(ポップスシンガー、ロックシンガー)/松原凜子(ミュージカル、クラシック)古城門志帆(声優)/清水裕明(ボーカルトレーナー)

■ホームページ   
https://clarity-arts-school.com/

■SNS 
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\「先生に習いたい!」とご興味を持った方へ/


講師インタビュー

『CATS』を観て「何かすごく楽しいな」と思ったんです。

──音楽に触れたきっかけを聞かせてください。ご実家がピアノ教室をされていたとのことですので、ピアノから?

清水 それが僕、親から習いたくなくてピアノを習わなかったんですよ。反抗してピアノもやらずに、なぜかバイオリンを始めたっていう。でも、あんまり面白くなかったのか、続かなかったんですよね。で、中学の頃、親にミュージカルに連れていってもらって、そこで「ミュージカルやりたい!」ってなったのが、ちゃんとした始まりですかね。

──ちなみに演目は何ですか?

清水 『CATS』です。『CATS』を観て「何かすごく楽しいな」みたいに思ったんですよね。音楽ってよくわからず楽しくさせてくれるじゃないですか。中学の頃は思春期だったのか何だったのか、あんまり日々が楽しくなかったんですよ。それが、すごく音楽が楽しくて……っていう感じですね。その後は学校でも、“ひとりで誰も知らないミュージカルの歌を歌ってる子”みたいな(笑)。

──具体的にミュージカル俳優になりたい!くらいの?

清水 そうですね。「ミュージカルをやりたいなぁ」みたいなことを思って、中学の頃、親に言ったんだけど「大学は出といたほうがいい」って話をされて。で、「今から高校受験をすると大学受験もしなきゃいけなくなって大変だから、大学エスカレーターの付属高校に入ったら始めていいよ」って言われたんです。それまで成績がすごく悪かったんですけど、猛勉強して早稲田高等学院に入れたんですよ。そこから僕のミュージカルライフが始まりました。初めはほとんどダンスだったんですけど、週7で通ってたんですよね。学校が終わったらすぐ帰ってきて、6時からダンスを2レッスン、もしくは歌のレッスンとダンスみたいな感じでやっていくという高校生活でしたね。

──早稲田高等学院は男子校ですから、ミュージカルの話もなかなかこう……。

清水 誰もわかってくれなかったですね、ハハハハ。だから「ヘンなやつ」扱いされてましたよね。

──高校生のときに、オーディションを受けたりしたんですか?

清水 オーディションはなかったんですけど、通っていたのがダンススタジオと芸能事務所を兼ねているみたいなところで、「こういうのがあるから出ないか?」みたいな感じで、昔TAPDOGSっていうダンスチームがあったんですけど、そのチームが映画化されたとき、映画の宣伝として路上でタップをするダンサーとか、何かのCMのバックダンサーとか、そういう仕事を振っていただきました。

──そのときにやっていたボイストレーニングはどんな感じですか?

清水 歌は初めが声楽系だったので、オペラの二期会というところ出身の方から、ジラーレだとかキューゾだとかっていう声の作り方を中心に教えてもらってました。僕、ダンスのほうがやっている時間が長かったので、周りからはダンスの人と思われていたんですね。で、歌の先生に「お前はまだ受からないだろうけど、慣れるためにオーディションを受けなさい」と言われて『レ・ミゼラブル』のオーディションを受けたら、受かっちゃったんですよね。それが商業ミュージカルとしてはデビューでした。

──それは、おいくつくらいの時ですか?

清水 それが22歳か23歳くらいの時ですね。

──大学を卒業されてすぐ、くらいですか?

清水 大学はね、僕、留年して……(笑)。ミュージカルをやり過ぎて学校に行けなかったせいで、一留半やってるんですよ。本当だったら卒業して舞台に出ているはずが、最後の学生をやりながら舞台に出るみたいな感じになってました。

──そこからはミュージカル俳優として活動していかれたわけですね。

清水 そうですね。30歳ぐらいまでは、ほぼ出演のみでやっていて。それから何か俳優だけにちょっと未来が見えなくなってきたというか……。そういうのもあったりして舞台のプロデュースをやらせていただいたり、プロダクションのマネージャーみたいな感じで、人の育成に携わらせていただくことが増えてきたんですね。もともと大学でもミュージカルのサークルを自分で立ち上げて作ったりしてたので、人をまとめるのが得意だったらしく、教えるのもなんかうまかったんですかね……。自然と教えるポジションになってて。だから教えをいっぱいやってた、プロデュースとかをやってた、みたいな。そういう経歴から人を育てるポジションに振られるようにどんどんなっていきました。今はクラリティアーツスクールというスクールを仲間とやってるんですが、初めは基本的にマーケティングでお手伝いしましょうっていうところから入ったんです。いろんな企画を考えて「こういうプロジェクトやったらどうだ」みたいな感じで広げていったんですね。で、途中から僕に歌を習いたいっていう子が出てきて。だから僕、クラリティのホームページに講師としては名前が載ってないんですよ。それは別に……そこで教える気がなかったからって言うか(笑)。裏メニューみたいな感じであったんですけど、ありがたいことに人づてで生徒の数が増えていって。なので、何かどんどんヴォイストレーナーとして特化していったみたいなところですね。

──要望が多くてヴォイストレーナーにもなったという感じですかね。

清水 そうです。何か求められて転がされてきたら、ここに来た……みたいなところがありますね。

解剖学にたどり着いて、これまで学んできたことが今、統合されつつある。

──ヴォイストレーナーとしても活動するようになり、具体的に勉強されたりしましたか?

清水 すごくしましたね。やっぱり教えてくれって言われたものの、それまで自分の経験しか教えられなかったので、初めの頃はお役に立てない生徒さんがいっぱいいたんですよ。満足いくような結果を与えてあげられなくて、辞めていってしまう生徒さんもいて。それがすごく悔しかったり申し訳なかったりしたので、「何でなんだろう?」っていうのを考えて、そこから本当にいろんなことを学びました。ハリウッドメソッドだったり、イタリアのメソッドだったり、ドイツのメソッドだったりとか。いろいろ学んでいって、最近ようやく解剖学にたどり着いて、これまで学んできたことが今、統合されつつあるみたいな感じなんですよね。ともするとボイトレ界って、ちょっと喧嘩しがちなところがあって(苦笑)。「あの人のやり方は間違ってる!」みたいな。そういうやり取りがけっこう多いんですけど、僕は「みんな仲良くやろうよ」っていう気質なので。ただ、こう言わんとすることもわからなくないこともすごく多くて。「腹式呼吸が大事じゃない」っていう先生もいるし、「大事だ」っていう先生もいるし……。これ、正しくはやっぱり「大事なときもあれば、そうでないときもある」っていうことだと思うんですよね。結局それって、「いかに個別対応できるか?」で。すべてがみんなに必要なものではないっていうのを、やっぱり学んでいくと、日々どんどん痛感しますよね。

──なるほど。では、現在の清水先生のメソッドにおける師匠みたいな人はいらっしゃるんですか? 実際に会っていなくても著作物を読んで、というような形でも良いですが。

清水 それこそセス・リッグスさんとか、フースラーさんとか、エスティルさんとか、そういう海外でメソッドを確立されていた方々。あとは日本の弓場(徹)さんとか、日本のボイトレ本もけっこう読み漁りましたので。その中で共通することを取り出して、「違うことは何だろう」っていうのを読み解いて……みたいなことをやってきましたね。

──そういう勉強・研究をし、結果を出してあげることで、生徒さんが途中でやめちゃうことが減ってきましたか?

清水 僕を利用し倒してくれる人が好きなんですよ。言っちゃえば、僕はただ生徒さんより「勉強してるだけ」の人だと思うんですよね。もちろん僕より勉強してるトレーナーさんもいっぱいいらっしゃると思うんですけど。生徒さんが「こういうことをしたいんだけれどもできない」、「自分ではどうしていいかわからない、どうしたらいいんだ」って来たら、「じゃあこれだよ」って、僕の中の知識がその人のお役に立てられると思うんですね。逆に僕がその人の望んでいないことをあげちゃうのも違うし、それこそポップスの才能がある人に声楽を教えることが「良くないこと」もあると思うんですよね。なので、僕の「したい」じゃなくて、生徒の「したい」を叶えるために僕を利用するっていうスタンスで、生徒さんが来てくれると一番嬉しいですね。

──少し話は戻りますが、解剖学について研究される中で見出したトレーニングの一例を挙げていただけますか?

清水 例えば「nei nei(ネイネイ)」とかっていうファニーボイスの「nei」っていう言葉で発声させるエクササイズとかっていうのがあったり、「ぅお〜ぅお〜ぅお〜」みたいな声で発声させたりとか。アンダッツって言って(例として眉間のそばに手を当てながら発声しながら)特定の場所に響かせて、「これはアンダッツ2だ」みたいな。そういう感じでやる、いろんな手法があるんですね。じゃあこれが「何でそのエクササイズが組み立てられたんだろう?」って考えたときに、結局僕らは物理的な人間なのでね。骨が折れたら身体が動かないじゃないですか。で、筋肉が縮めば身体が動くので、すべての現象は物理が起こしているって考えると、その理由がそれぞれわかってくるんですよね。

──確かにそうですね。

清水 そうなると「必要なときと必要じゃないとき」っていうのがすごくわかってくるんですね。例えば、喉仏が上がることが一見いいけれども、上がるだけだと、そこから発展性がないよなって。「nei nei」っていうのは喉仏が上げやすいんですけど、ハナから喉仏が上がっちゃう人に対して、さらに上げるような真似っていうのは逆効果になっちゃうじゃないですか。じゃあ、それはせずに「グッグッグッ」とか、喉仏を下げてあげることがその生徒さんには良かったりする。自分が今まで使って教えてきたツールの理由が、さらに深くわかるから、逆にアレンジして教えられるっていうのはすごい実感してますね。

──当たり前ですが、生徒さんに解剖学を伝えるのが目的ではないですものね。

清水 そうです。あくまでより効果のあるエクササイズを生み出すため、今あるエクササイズをより質の高いものにするために解剖学を学んでるっていう感じですね。でも、全然学んだと言えないレベルだと思ってます。

──それらをX(旧Twitter)とかでも発信されていますね。

清水 はい。そこは振り切って頑張ってますね。伝えたいことがいっぱいあるんですよ(笑)。それこそ歌のレッスンだけでは伝えきれないことっていうのがすごくあるので、そういうマインドとかも含めて、ちょっと触れてくれたら嬉しいなっていうので、けっこういろんな発信をします。

──さらに、他のトレーナーさんとも意見交換会や勉強会を開かれているそうですが、どういう話になるんですか?

清水 今やってるのは岩崎ひろきさんとか『歌スク』にも参加されている詩菜さんとか竹井侑冶さんとか、そういう方々と「テンセグラルボイスワーク」っていうチームを作ってます。略してTVWっていうんですけど。そこにいる人たちは基本みんな解剖学をある程度学んでいる人たちということで、それこそ「こういう人が来たんだけど、みんな的にはどう解釈しますか?」みたいな感じでお題が出されたりとか、理学療法士さんを呼んで「背骨の角度によって出る声の影響度の違い」とか、「テーピングを貼って喉仏の動きを滑らかにして歌をうまくする」とか。本当に人体実験ですね(笑)。仮説を元にみんなでそれを検証して「これは有効だね。これはそうでもなかったね」みたいなことを日々深めていく変態なグループです(笑)。

──変態ですね(笑)。もちろん良い意味ですが。

清水 この間も、上裸のオッサンたちがお互い身体にテープを貼り合ってましたからね(笑)。でも、楽しいですよ。僕の祖父が大学の教授だったから、その血なのかな? 研究者肌は合ってますね。

──清水先生にとって、ヴォーカリストのスターは? 

清水 いっぱいいますけどね。それこそレジェンドと呼ばれる方では、玉置浩二さん、松崎しげるさん、石川さゆりさんとかですよね。最近で言うと僕はAdoさんが圧倒的に好きですね。あの変幻自在の声色は真似できないし、あの感性が凄まじいですね。

──クラリティアーツスクールでは、ミュージカルの生徒さんが多いそうですね。

清水 クラリティはミュージカル7〜8割。他が2〜3割ぐらいですかね。クラリティが他のスクールと一番違うのが、生徒さん同士の横のつながりがけっこうあるんです。ロビーがあって、そこで生徒さんがレッスンを待ってるし、時間がある人はそこに残って何か作業してもいいみたいなエリアがあって。そこで交流できるんですね。コロナ禍の前は月イチで食事会みたいなことをやってました。トレーナーと生徒さんが入り交じってみんなでご飯を食べるんです。それも僕の発案だったんですけど、先生と触れてる時間が長いほうが「意識のインストールができるな」と思って。歌のうまさだけじゃなくて、あの人がこういうときにどう振る舞ってたとか、何を感じてどう動いたとか、そういうのを肌で感じること、プロのアーティストに触れることが一番近道だと思うので、そういう「場の力」がすごくあるのがクラリティアーツスクールです。場の力をうまく使えると、一人だと心が折れそうな時に支えてくれる仲間がいたりとか、もしくはライバルがいるから頑張れることも起こると思うんですね。歌がうまくなるだけがアーティストとして成功する道ではないので、それ以外に必要なことを、ぜひクラリティで学んでくれたらなといつも思ってます。

特にグルーヴのレッスンについてはミュージカル界に広めたい。

──どういう生徒さんだと、自分が向いていると思いますか?

清水 「ちゃんと考えられる人」かなと思います。逆に良くないのが依存関係だと思ってて。「この先生がいないとダメ」ってなっちゃうのもシンガーさんのために良くないし、僕が「俺に任せとけ」というのも良くないと思うんです。師弟関係というよりは、お互いが自立して助け合うパートナーでありたいですね。「ここに来たら歌をうまくしてくれるんでしょう」っていうスタンスの方は、あまりお役に立ちづらいのかもしれないです。僕はレッスン内でもけっこう質問が多いんですよね。「今どう思った?」とか、「何を感じた?」って。「これをやってみて、これとこれの違いって何かあった?」っていう。それに対してわからないっていう答えが多い生徒さんは、やはりどうしても伸びが悪くなってしまうというか……。それはたぶん自分の身体のことをあんまり考えてなくて、指示にだけ反応しているからだと思うんですよね。そういう意味で自主性がある生徒さん、やる気がある生徒さん……当たり前か(笑)。そういう方のお役には立てるんじゃないかと思います。あとは、他のところで教わってバランスを崩しちゃって悩んでる方とか、前みたいに声が出ない方っていうのは、かなりの確率で取り戻せると思うので利用してもらえたらなと思います。

──紹介動画でもおっしゃってましたが、バランスをとても重視されていますね。

清水 そうですね。バランスってやっぱり大事じゃないですか。伸ばす筋肉と縮める筋肉の両方があって身体が動いてくれるから、そのバランスを崩していっちゃうと、自分では伸ばしているつもりでも、実は縮めてることとかあるし。バランスが取れないと意識と身体がズレてくるんですよね。なので、それを大事にしてます。ちょっとマニアックになっちゃうんですけど、人間の身体ってすごくて。例えばよく「首を絞めて歌っちゃうことが良くないから、首絞めないで」とか「リラックスして」って言うことがあると思うんですが、あれ実は人間の身体がその人を助けようとしてくれている行為なんですよ。必要な筋肉が動かないから、他の筋肉で無理やり声を出させようとしてくれた結果、首が締まる。

──首が締まるというのは、具体的には?

清水 「声が苦しくなっちゃうんです」みたいな状態ですね。実はあれ、苦しいのがいけないんじゃない。必要なところが動いてないから、身体が代わりに頑張ってくれて苦しくなっちゃったっていうことなので、必要な部位を目覚めさせてあげてバランスが取れると、自然とその力みが取れてくるんですね。なので、あんまり「脱力して」とか「リラックスして」っていう言葉を僕のレッスンでは言わなくて。やっぱりバランス取れたら自然と良い状態になってるみたいなことがあるので、特にそういうバランスには注目して見てますね。

──勉強になります。レッスンでは、こんな特徴を出していきたいなという想いを聞かせてください。

清水 「言葉の使い方」っていうレッスンをちょっとやってみたいですね。最近、言語学の勉強を始めていて、これが楽しいんですよ。「共鳴音」と「阻害音」っていうのがあって、「ア」とか「マ」とか「ナ」とか、響きとして丸くて声帯の振動を邪魔しない言葉のことを共鳴音って言うんですね。で、「ザ」とか「ガ」とか「サ」って、声帯が鳴る前にこっち(鼻腔あたり)のほうでノイズを作らないといけないので、阻害音って言われているんです。で、阻害音ってパワーが生まれやすいし、ちょっと「強い、硬い」みたいなイメージがあるんですね。例えば阻害音を立てると非常に強く聴こえてくる。で、【必殺技をカッコよく聞かせる方法】っていうのがあるんですけども(笑)。これは阻害音を立てるんです。例えば「かめはめ波」は「か」が阻害音で「めはめは」は共鳴音ですよね。だから「か」が強く言えないと、けっこう弱くなっちゃって必殺技っぽくなくなる。やはり阻害音の「か」を強く言うことで必殺技感が強まるんです。

──わかりやすい!

清水 これは感情とは別で、そこの言葉を立ててあげることによって伝わるものがすごくあるなと。歌になると、みんな歌うことに意識が行き過ぎちゃって、言葉の立て方を置き去りにしちゃうと表現力が下がっちゃうことがあるんです。言語学をちょっと使ってあげると、それこそ「心じゃなくて感情を動かせる歌が作りやすくなるんじゃないかな」っていうのがあって。そういう「言葉の使い方ワーク」なんていうのもやってみたいですよね。

──面白そうですね。

清水 あとはグルーヴですね。ミュージカルって特にグルーヴが弱いとされていて。声楽の世界にはグルーヴっていう概念があんまりなくて、フレージングっていう使い方がされているので、どうしても最近入ってくる新しいミュージカルのグルーヴにちょっと対応できない人が多いんですよね。でも教えている側は声楽ベースの人たちが多いので、これを教えられる先生が少ない。グルーヴのレッスンをすると見違えるように声が良くなる人ってすごく多いんです。特にグルーヴのレッスンについてはミュージカル界に広めたいっていう思いはあります。

──やっぱり日本人はグルーヴが弱いですか?

清水 弱いんですね……何で弱いんでしょうね。やっぱり言語ですかね。英語ってリズムでしゃべる、日本語は抑揚でしゃべるので、どうしてもそうなっちゃうんでしょうね。

──それでは、最後にを皆さんへメッセージをください。

清水 成長の鍵って「自分の気づいていない自分の中にあるもの」だと思うんですよ。それって自分ひとりで見つけるのはすごく難しいこと。運よく見つけられる人もいますし、ハナからバランスが取れてる人は必要ないんですけれども、「何か物足りないんだよな」って思ってる人は、そのワンピースを見つけるために僕たちを利用してくれたら、お役に立てるんじゃないかなと思います。来てチョーダイ!!


\「先生に習いたい!」とご興味を持った方へ/


講師動画紹介

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