【ライブレポート】UNISON SQUARE GARDEN『オーケストラを観にいこう』
2024.08.20
バンド結成日である7月24日からスタートした3日間の祝祭ライブ『UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE』。2日目は、ユニゾン×ストリングス×ブラスセクションの総勢38名で奏でる特別編成。予想不可能なスペシャルライブを余すことなくお伝えしていく。
取材・文:島村花、撮影:Viola Kam (V’z Twinkle)
UNISON SQUARE GARDEN、バンド初のオーケストラ編成で届けた、特別な一夜をレポート!
この日はSE「絵の具」ではなく、まるでクラシックコンサートのように開演ブザーがステージの始まりを告げた。まずはオーケストラメンバーが入場しチューニングが始まる。つづいて、今回の演目の編曲を務めた伊藤翼が指揮者として登壇。明らかに普段のUNISON SQUARE GARDENのライブとは異なる空気感に、そわそわと期待に満ちた観客の表情が新鮮に感じられる。そして斎藤宏介(g、vo)がステージに登場し、観客に向かって一礼をすると「アンドロメダ」からライブがスタート。宇宙に広がる星々を描くような幻想的なサウンドがオーケストラの生演奏によって再現されるなか、田淵智也(b)と鈴木貴雄(dr)もステージへと姿を現す。全38名で奏でる2曲目は「フルカラープログラム」。バンドサウンドに乗るストリングスの伸びやかな旋律や、ブラスセクションの音の粒がキラキラと眩しいアレンジになっている。
MC一発目は斎藤の“こう見えてUNISON SQUARE GARDENです”という挨拶から。この日はメンバーも黒いジャケットを纏い、いつもよりフォーマルな装いだ。USGフィルハーモニック、伊藤翼、そしてピアノを務めるパスピエ・成田ハネダを紹介していく。
成田の奏でるどこか飄々とした空気を纏いながらも情熱的なピアノイントロで「harmonized finale」がスタート。この楽曲が持つ目の前が開けるような希望感が、オーケストラの音によって底上げされていくようだ。「kaleido proud fiesta」は原曲でもストリングスの存在感が際立つ1曲。生演奏で繰り広げられる楽曲の完成度は圧巻だった。つづく「カオスが極まる」は、オーケストラの入る余地のないような3人の音の圧が密に詰め込まれた疾走感あふれる楽曲だ。そんな予想外の選曲だったが、ストリングスが加わることで、ヒリヒリとした焦燥感や不穏感が身体中に襲いかかるような臨場感あふれるアレンジに仕上がっており、会場の熱は一気に高まっていった。「オリオンをなぞる」「春が来てぼくら」とつづき、ストリングスチームとの前半戦は鮮やかに締めくくられた。斎藤も“ちょっとすごすぎる”と、満足げな表情を見せた。
15分間の休憩をはさみ、華やかなブラスセクションのサウンドと共に「like coffeeのおまじない」で後半戦がスタート。軽やかな原曲の空気感とはまた違った、どこかミュージカルライクにも感じられるような華々しいアレンジが光った。つづく「フライデイノベルス」では、3人の爽やかなロックサウンドに、鋭さを持つブラスの音色が彩りを加えていく。
ここでサプライズゲストの登場が告げられると、ステージに現れたのはイズミカワソラ。UNISON SQUARE GARDENのライブではお馴染みのSE「絵の具」を歌う彼女と共に披露されたのは「mix juiceのいうとおり」。レコーディングやMVも共に作り上げたイズミカワソラとの多幸感あふれるステージに、会場からは熱い拍手が贈られた。サプライズはまだまだつづき、BIGMAMAのドラマーBucket Banquet Bis・通称ビスたんがステージに登場。ビスたんの持ってきた“スーパー大太鼓”をこの日は鈴木が担ぎ、ドラムセットにはビスたんが着席。斎藤と田淵のあいだに鈴木が入り、なんともライブでは珍しい3人が横一列に並んだ状態で「恋する惑星」がスタート。普段は演奏しながらでは届かないようなステージの端まで軽やかに移動しながらスーパー大太鼓を奏でる鈴木。ステージの縁にまで身を乗り出しながら、特別な時間を楽しむ姿が印象的だった。
20周年を祝うべく、つづいてステージに登場したのは、UNISON SQUARE GARDENの後輩バンドにもあたるハンブレッダーズのukicaster(g)だ。ファンクラブにも入るほどだという彼はとある楽曲のMVにもエキストラ出演しているとのこと。そんなユニゾン愛のあふれるukicasterと共に披露されたのは、前述のMV出演楽曲でもある「桜のあと(all quartets lead to the?)」。斎藤とのツインギターパートでは観客を大いに沸かせ、お祝いの言葉と共にステージをあとにした。ここで鈴木のドラムソロを挟み一気にストイックなUNISON SQUARE GARDENのライブカラーへと引き戻したかと思えば、さらなるサプライズゲストとして東京スカパラダイスオーケストラよりNARGO(Tp)、北原雅彦(Tb)、GAMO(Tenor Sax)、谷中敦(Baritone Sax)が登場。さらに厚みを増したブラスセクションと共に「君の瞳に恋してない」「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」を披露。今年デビュー35周年を迎える先輩バンドでもあるスカパラからの熱い激励に、3人も“かっけー”と瞳をかがやかせていた。
ここでストリングスもステージへと戻り、総勢38人でのラストスパートを迎える。華やかなサウンドが散りばめられた「いけないfool logic」で会場はお祝いムード一色に。そしてつづく「シュガーソングとビターステップ」は、ストリングスの情緒が加わることで、この曲が隠し持つ、切ないメロディーパートが際立つようだった。やはり「シュガーソングとビターステップ」の無敵感は別格だ。ラストは今回のライブタイトルにもなった、「オーケストラを観にいこう」を、ついに管弦の生演奏と共に披露。ドラマチックな曲展開に合わせて会場にも紙吹雪が舞い、盛大なフィナーレを迎えた。
まるで“ご褒美”のような充実感を会場全体で分かち合いながら2日目も幕を閉じた。残す3日目は盟友・クリープハイプとの対バン形式となる『fun time 歌小屋』。どんなステージが繰り広げられるのか、最終日までレポートしていきたい。
「UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE “オーケストラを観にいこう”」
2024年7月25日 日本武道館
SET LIST
01. アンドロメダ
02. フルカラープログラム
03. さわれない歌
04. 君はともだち
05. harmonized finale
06. kaleido proud fiesta
07. カオスが極まる
08. オリオンをなぞる
09. 春が来てぼくら
10. like coffeeのおまじない
11. フライデイノベルス
12. mix juiceのいうとおり
13. 恋する惑星
14. 桜のあと(all quartets lead to the?)
15. 君の瞳に恋してない
16. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ
17. いけないfool logic
18. シュガーソングとビターステップ
19. オーケストラを観にいこう