【ライブレポート】シンガロングで会場が震えた夜……Dragon Ashのライブハウスツアー東京公演
2024.04.9
取材・文:織本 幸介
撮影:TAKAHIRO TAKINAMI
Dragon Ashのライブハウスツアーをレポート!
Dragon Ashが全国のライブハウスをめぐるツアー『VOX in DA BOX』の東京(Zepp Haneda)公演を3月31日に開催。“VOX(※ラテン語で声の意味)を響かせてほしい”という意味が込められたツアー名にふさわしい、熱狂に包まれたライブの模様をレポートしたい。
Kj(Vo & G)の体調不良により序盤の公演が延期となり、1月7日の金沢公演も能登地方を中心に発生した地震の影響で延期となったツアーだけあって、会場には彼らのライブを待ちわびるアツいファンが集結。ステージ下には多くのセキュリティも配置され、すさまじいライブが展開されそうな予感が満載のなか……まずはゲストバンドのSHANKが登場だ。3ピースの編成で繰り出されるタイト&エネルギッシュなメロコアサウンドでフロアは十分すぎるほどに温まり、いよいよDragon Ashのステージとなった。
BOTS(DJ)が登場してオープンニングナンバー『Entertain』が始まると、Kjが軽快に現れてフロアを沸かせ、メンバーの櫻井誠(Dr)、hiroki(G)、そしてサポートベーシストのT$UYO$HI(The BONEZ、Pay money To my Pain)を呼び込む。5人がステージに揃うと早くもすさまじいコール&レスポンスが巻き起こり、熱狂のなかライブが進んでいく。
3曲目『Mix it Up』以降はKjがギターを構えるシーンが多く、歪んだギターサウンドとともに歪んだ歌声を響かせる。彼が生み出すその声は歪みながらもスマートさを内包しており、ハードな曲のなかでも気持ちよく鼓膜に届いてくるから不思議だ。そんなKjが「腹から声出せ!」と煽るたびにフロアからはすさまじい声の塊が発生し、それがバンドの演奏をよりエモーショナルにさせていく。まさにVOX in DA BOXを体現したライブとなり、『朝凪Revival』や『Lily』では会場が震えるほどのすさまじいシンガロングが発生した。バンドはコロナ禍にこの会場でライブを行ったものの、多くの規制のなかでライブを行わざるを得なかった。そのうっぷんをファンとともに存分に晴らす、全力の声出しライブとなった。
現在のDragon Ashの演奏面の魅力にも注目したい。2ビートからラテンまで懐の深すぎるドラミングで楽曲を支える櫻井と、シンプルなプレイながらもポケットを押さえたT$UYO$HIのリズム体のグルーヴが安定感にあふれ気持ちいい。そして、パーカッションや鍵盤の演奏でもサウンドメイクに貢献するBOTS、良い意味で変態的なフレージングで耳を奪うhirokiのプレイもあわさって、唯一無二のDragon Ashサウンドを生み出している。そのフロントにカリスマ性あふれるKjがいれば……そりゃあ国内屈指のモンスターバンドと称されて当然である。
終盤にはセキュリティたちが大活躍をみせたダイブ大量発生の定番曲『百合の咲く場所で』、そして同じくダイブがあちこちで発生した『Fantasista』などが畳みかけるように演奏され、大熱狂のうちにライブは終了した。開演前はセキュリティの多さに驚かされたが、それでも足りないくらいフロアが沸きに沸いた強烈なライブだった。7月からは振替公演が行われるが、セキュリティのみなさま、引き続きよろしくお願いします!