「Ninth Peel」はまだまだ終わらない! UNISON SQUARE GARDEN最新アルバムツアー前半戦『TOUR 2023 “Ninth Peel”』をレポート

『TOUR “Ninth Peel”』UNISON SQUARE GARDEN
2023年7月1日(土)@東京ガーデンシアター
撮影:Viola Kam (V'z Twinkle)
取材・文:島村花

今年4月にリリースされた9thアルバム『Ninth Peel』を提げた全22公演のツアー『TOUR “Ninth Peel”』。本ツアーではマスクを着用していれば歓声がOKとなり、3年ぶりにUNISON SQUARE GARDENの声出しライブが復活となった。大盛況のうちに駆け抜けた19公演に加え、さらに追加公演として発表された7月1日東京ガーデンシアター公演。その模様をレポートしたい。

 お馴染みのSE「絵の具(r-r ver.)」(イズミカワソラ)とともに3人がステージに現われ、しんとした空気の中始まった1曲目はアルバム『MODE MOOD MODE』より「夢が覚めたら(at that river)」。アルバム内では後半に位置する楽曲だが、オープニングを飾るにふさわしい力強さと説得力も持った楽曲だという新たな発見がある。斎藤宏介(vo、g)の“UNISON SQUARE GARDENです。ようこそ!”という挨拶に続く2曲目は「シュガーソングとビターステップ」。「夢が覚めたら(at that river)」から一転、会場は一気にカラフルな彩りに満ち、きらびやかなサウンドの粒が眩しい1曲だ。鈴木貴雄(d)のドラミングも冴え、立ち上がってプレイする場面も。

斎藤宏介(vo、g)

 続いて新作アルバム『Ninth Peel』より「ミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂ」、「Nihil Pip Viper」と続く。メンバーの背後に設置されているアルバム名を模したネオンが光り始め、一気に『Ninth Peel』の世界へと引き込まれる。鈴木の奏でるドラムソロアレンジに斎藤のギターと田淵智也(b)のベースが合流し、「City peel」へ。柔らかなブルーの光が会場を彩りメロウな時間が流れる。どこか気だるげな雰囲気を帯びたまま、再び『MODE MOOD MODE』より「静謐甘美秋暮抒情」を披露。『MODE MOOD MODE』と『Ninth Peel』という異なる2枚のアルバムだが、本ツアーのセットリストではそれぞれの色が見事に溶け合っており、相性の良さに気づかされた。

 前2曲で作られたしっとりとした空気を裂くように始まったのは「WINDOW開ける」。1stアルバム『UNISON SQUARE GARDEN』からの選曲に、胸が熱くなったファンも多いのではないだろうか。どこまでもシンプルなステージ演出と音飾が、3人によく似合う。ラスサビの《ならば/ウィンドウ開けて》という斎藤のエネルギッシュな歌声で、さらに会場は熱を帯びていく。

田淵智也(b)

 「シューゲイザースピーカー」の生命力を感じさせる疾走感そのままに「アンチ・トレンディ・クラブ」へとなだれ込み、そのまま勢いを止めることなく「MIDNIGHT JUNGLE」へ。冒頭、斎藤のロングトーンに煽られるようにひと際大きな歓声が上がり、一心不乱に音を楽しむファンの姿が印象的だった。一瞬の休む隙も与えることなく「Phantom Joke」へと続き、これでもかとキラーソングで畳み掛けていく。

 ライブも折り返し。熱し切った会場に爽やかなミドルバラード「Numbness like a ginger」が涼しさを運び、ギター、ドラム、ベースと徐々に音がひとつに溶け合っていく様子が心地よい。ギターと歌声のみで始まる「お人好しカメレオン」は、ライブで披露されることの少ない楽曲だがUNISON SQUARE GARDENが持つ距離感や優しさが詰まった1曲だ。

鈴木貴雄(d)

 ここで鈴木のドラムソロパート。目まぐるしいリズムを刻みつけ、雄叫びとともに叩き切った鈴木に惜しみない拍手と歓声が贈られる。そこへ斎藤と田淵が合流し疾走感あふれる3人だけの時間が凝縮されたセッションパートへ。斎藤の10カウントによって「スペースシャトル・ララバイ」が始まると、ツアーロゴのネオンサインもステージに現われ、一気にクライマックス感が高まってゆく。「放課後マリアージュ」はカップリング曲ながら、前ツアー『fiesta in chaos』でも会場を大いに盛り上げたライブ映えするポップな楽曲。ラスサビ前の観客による手拍子も完璧に決まっていた。

 多幸感あふれる会場から一転、これまたライブで抜群のパワーを発揮する「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」。カオスなアッパーチューンが会場のボルテージを一気に引き上げ、そのまま最新シングル曲「カオスが極まる」へ。UNISON SQUARE GARDENが象徴するカオスティックさがこれでもかと詰まった大ヒット楽曲だ。本編ラストはUNISON SQUARE GARDENなりのラブソング「恋する惑星」。アルバムを象徴するネオンモチーフも集合し、カラフルな世界観の中ライブを楽しむメンバーの笑顔も眩しい。

 余韻を楽しむのも束の間。すぐにステージに3人が戻ってくると、斎藤の“おまけ!”というコールとともにアンコールへ。ライブ定番曲「ガリレオのショーケース」では、斎藤と田淵のじゃれ合いに思わず笑ってしまうファンも多数。掛け声ポイントでもあるラスサビ頭の《毎日か、そう》という部分では、声出し解禁のありがたさをひしひしと感じることができた。

 「kaleido proud fiesta」で迎えたフィナーレでは会場照明も明るくなり、晴れやかな開放感があふれていく。と同時に、ライブが終わってしまう切なさも感じていたのだが、そんな我々の感情を受け止めるべく、10月31日より『TOUR 2023 ”Ninth Peel” next』のスタートが決定している。『Ninth Peel』の第二章はどんな展開が待ち受けているのか今から楽しみだ。


UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2023「Ninth Peel」
2023.07.01(Sat)@東京ガーデンシアター

■SET LIST
01 . 夢が覚めたら(at that river)
02. シュガーソングとビターステップ
03. ミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂ
04. Nihil Pip Viper
05. City peel
06. 静謐甘美秋暮抒情
07. WINDOW開ける
08. シューゲイザースピーカー
09. アンチ・トレンディ・クラブ
10. MIDNIGHT JUNGLE
11. Phantom Joke
12. Numbness like a ginger
13. お人好しカメレオン
14. スペースシャトル・ララバイ
15. 放課後マリアージュ
16. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ
17. カオスが極まる
18. 恋する惑星

EN
19. ガリレオのショーケース
20. kaleido proud fiesta

ライブ情報

■<UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2023 “Ninth Peel” next>
2023年10月31日(火)神奈川・川崎 CLUB CITTA’
2023年11月2日(木)福岡・Zepp Fukuoka
2023年11月3日(金・祝)鹿児島・CAPARVO HALL
2023年11月6日(月)神奈川・KT Zepp Yokohama
2023年11月7日(火)神奈川・KT Zepp Yokohama
2023年11月9日(木)北海道・Zepp Sapporo
2023年11月12日(日)宮城・仙台GIGS
2023年11月13日(月)秋田・Club SWINDLE
2023年11月16日(木)大阪・なんば Hatch
2023年11月17日(金)大阪・なんば Hatch
2023年11月20日(月)愛知・Zepp Nagoya
2023年11月21日(火)愛知・Zepp Nagoya
2023年11月26日(日)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA
2023年11月27日(月)高知・高知 X-pt.
2023年11月29日(火)香川・高松 festhalle
2023年12月5日(火)滋賀・U★STONE
2023年12月6日(水)大阪・GOLILLA HALL OSAKA
2023年12月11日(月)東京・Zepp Haneda
2023年12月16日(土)沖縄・ミュージックタウン音市場

■<UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2023 “Ninth Peel” next>site
https://unison-s-g.com/ninth-peel/tour.html

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