2021年11月5日、6日 @ 日本武道館
取材・文:田代 智衣里(Vocal Magazine Web)
撮影:CYANDO
2日目の幕開けは、鈴木茂、杉真理、伊藤銀次のスペシャル・トライアングルによる「A面で恋をして」。鈴木が一足先にステージをあとにすると、伊藤は“松本さんの小説「微熱小説」が映画化されましたが、その挿入歌に僕も参加させていただいております。主人公が物語の中で武道館のビートルズのチケットをゲットするという話が出てくるので、この武道館でこの曲をやれるなんてとっても光栄に思います”と語り、杉真理とともに「Do You Feel Me」を披露した。
続く安部恭弘は「CAFE FLAMINGO」を歌唱。“1982年に僕がデビューする時に、若造が生意気にも松本隆さんにお願いしたいんですけどって言ったら、松本さんが僕のアルバムを聴いてくれまして、アルバム一枚書いてあげようって言ってくれた。松本さんに色、方向性を決めてもらった気がします。心から感謝しています”。そう話し、「STILL I LOVE YOU」を演奏した。
続いて稲垣潤一がブルーのライトを背景に姿を現わし、「バチェラー・ガール」を披露。“僕もドラマーの端くれなんですが、さっき楽屋で松本さんにこれからもずっと叩き続けてくださいと伝えました”と語り、「恋するカレン」も披露した。
次に南佳孝が登場すると、「スローなブギにしてくれ(I want you)」を歌唱。“僕が松本君とデモテープを作っている時、その日の晩に松本君の家に行って。たまたま東京で生まれて同い年で、趣味というか映画とか本とか同じものが好きで、都会が好きで。そんな感じでできたのが「摩天楼のヒロイン」だった”と語った。続けて、「スタンダード・ナンバー」を披露したのだった。
ここで南は林立夫、鈴木茂を呼ぶ。南が“サンバっぽいいい曲できたんだけど、一緒に歌ってくれないかって電話がかかってきて。デモテープの裏で蝉がみんみん鳴いてた”と当時のエピソードトークを披露すると、鈴木は“キャラメル・ママのレコーディングの時だよね。作ってる時から佳孝君の声がイメージにあって”と語った。そして3人で「ソバカスのある少女」を演奏。南佳孝がステージをあとにすると、続けて林と鈴木が「砂の女」、「微熱少年」を披露した。ここで小坂忠が登場し、林立夫とともに「しらけちまうぜ」、「流星都市」を届ける。
さらに、星屑スキャットがThe Three Degreesの「ミッドナイト・トレイン」、堀込泰行が原田真二の「てぃーんず ぶるーす」、藤井隆はキリンジ・堀込高樹が楽曲提供した「代官山エレジー」を歌唱した。
ここで“冨田ラボ”の名前がスクリーンに映し出される。ここからは冨田をホストに、ひとりずつゲストを迎える。feat. クミコで「フローズン・ダイキリ」、feat. 畠山美由紀で「罌粟」、feat. ハナレグミで「眠りの森」を演奏した。
次に冨田は“2人シンガーを呼び込みたいと思います”と言い、堀込泰行、畠山美由紀を招いた。“この3人が揃ったということはご存知の人も多いと思うんですけど……”と冨田が話すと、拍手が湧き上がる。“レコーディングの時、大変緊張したんです。歌入れの場で松本隆さんがご覧になっていて、作曲の松任谷由実さんもいらっしゃって。そんな曲をやりましょう”と語り、作詞・松本隆、作曲・松任谷由実、編曲・冨田恵一の「真冬物語」を披露した。“最高のバンドにも拍手を!”と声を掛け、冨田はステージをあとにした。
次に中島愛が登場すると、“みんな! 抱きしめて! 銀河のはてまでー!”の掛け声と同時に「星間飛行」がスタート。愛らしい振り付けで会場を盛り上げる。続いて中川翔子が作詞・松本隆、作曲・筒美京平の「綺麗ア・ラ・モード」を披露。キラキラ輝く瞳と、音源よりもビブラート多めの伸びやかな歌声で、会場を彩った。
続いて、椅子に座ったさかいゆうが登場。ハンドマイクで山下達郎の「いつか晴れた日に」を歌唱する。“心の底から大ファンの山下達郎さんの「いつか晴れた日に」を歌えて大変光栄です。次の曲は「SWEET MEMORIES」。大役中の大役ですよね。風街バンドのみなさんがいらっしゃるので大船に乗ったつもりでお送りします”と語り、「SWEET MEMORIES」を弾き語りで披露。一節ずつ歌詞を味わうように自分のペースで歌い出すと、風街バンドが包み込むように加わり、メロディと歌詞の繊細さが際立つスペシャル・アレンジで届けた。
さかいゆうがステージを去ると、ここでバンド・メンバーがスクリーンに映し出される。次の歌唱パートで登場したのは、EPO。竹内まりやの「September」を披露し、手拍子で会場を盛り上げた。続いてゆっくりと歩きながら吉田美奈子が登場し、「瑠璃色の地球」を届ける。《あなたがそこにいたから》でアリーナの観客に手を差し出し、《光の矢を放ち》では2階席に向けて矢を放つ仕草を見せながら、ひと言ひと言魂を込めて歌唱する。ワンコーラスを終えてすぐに、観客は拍手を贈った。アウトロではマイクから遠く離れても声が響き続け、吉田美奈子のMCが始まっても、しばらくの間拍手は鳴り止まなかった。
“ありがとうございます。こんばんは、吉田美奈子です。私は(松本隆さんに)最初にお目にかかったのは16歳の頃でした。もちろんその頃は松本隆さんも20代の若さです。こんなに光栄なことはありません。それを胸に、ずっと歌っていけます。本当におめでとうございます”と話すと、次に「ガラスの林檎」を歌唱した。最後に投げキッスを届け、ステージをあとにした。
アンコールでは2日目も松本隆、細野晴臣、鈴木茂が登場し、「花いちもんめ」を披露。この日はゲスト・ヴォーカルに鈴木慶一を迎え、「12月の雨の日」を演奏。そして最後に、「風をあつめて」を届けた。締めのMCでは松本が“細野さん頼りで僕は生きてきたんだから”と話す場面も。さらに、“昨日ビートルズの話をしたからね”と松本が話せば、“今日はさ、次の『風街オデッセイ』の話をしようよ”と鈴木が提案。会場は拍手で包まれた。
細野は“これからはシャッフルビートもやろうよ”と声を掛け、松本は“細野さんもいつまでも元気で。これからもがんばろうよ”と優しい声で語るなど、お互いにエールを贈った。最後に出演者全員で記念撮影をし、次回の期待を胸に『風街オデッセイ2021』の幕を閉じたのだった。
公演情報
2021年11月5日(金)日本武道館
セットリスト
01.砂の女(鈴木茂、林立夫)
02.微熱少年(鈴木茂、林立夫)
03.夏色のおもいで(曽我部恵一)
04.想い出の散歩道(アグネス・チャン)
05.ポケットいっぱいの秘密(アグネス・チャン)
06.雨だれ(太田裕美)
07.木綿のハンカチーフ(太田裕美)
08.三枚の写真(森口博子)
09.リップスティック(森口博子)
10.シンプル・ラブ(大橋純子)
11.ペイパー・ムーン(大橋純子)
12.タイム・トラベル(佐藤竹善)
13.セクシャルバイオレットNo.1(B’z、亀田誠治)
14.ルビーの指環(横山剣、亀田誠治)
15.君は天然色(川崎鷹也、亀田誠治)
16.Romanticが止まらない(C-C-B)
17.Lucky Chanceをもう一度(C-C-B)
18.ハイスクールララバイ(イモ欽トリオ)
19.赤道小町ドキッ(山下久美子)
20.誘惑光線・クラッ!(早見優)
21.夢色のスプーン(武藤彩未)
22.風の谷のナウシカ(安田成美)
23.Woman“Wの悲劇”より(鈴木瑛美子)
24.瞳はダイアモンド(鈴木瑛美子)
25.初戀(斉藤由貴)
26.卒業(斉藤由貴)
27.さらばシベリア鉄道(太田裕美
28.花いちもんめ(はっぴいえんど【松本隆、細野晴臣、鈴木茂】、鈴木慶一)
29.12月の雨の日(はっぴいえんど【松本隆、細野晴臣、鈴木茂】、鈴木慶一、曽我部恵一)
30.風をあつめて(はっぴいえんど【松本隆、細野晴臣、鈴木茂】)
2021年11月6日(土)日本武道館
セットリスト
01.A面で恋をして(伊藤銀次、杉真理、鈴木茂)
02.Do You Feel Me(伊藤銀次・杉真理)
03.CAFE FLAMINGO(安部恭弘)
04.STILL I LOVE YOU(安部恭弘)
05.バチェラー・ガール(稲垣潤一)
06.恋するカレン(稲垣潤一)
07.スローなブギにしてくれ(I want you)(南佳孝)
08.スタンダード・ナンバー(南佳孝)
09.ソバカスのある少女(鈴木茂・林立夫)
10.砂の女(鈴木茂、林立夫)
11.微熱少年(鈴木茂、林立夫)
12.しらけちまうぜ(小坂忠)
13.流星都市(小坂忠)
14.ミッドナイト・トレイン(星屑スキャット)
15.てぃーんず ぶるーす(堀込泰行)
16.代官山エレジー(藤井隆)
17.フローズン・ダイキリ(クミコ、冨田ラボ・冨田恵一)
18.罌粟(畠山美由紀、冨田ラボ・冨田恵一)
19.眠りの森(ハナレグミ、冨田ラボ・冨田恵一)
20.真冬物語(堀込泰行、畠山美由紀、ハナレグミ、冨田ラボ・冨田恵一)
21.星間飛行(中島愛)
22.綺麗ア・ラ・モード(中川翔子)
23.いつか晴れた日に(さかいゆう)
24.SWEET MEMORIES(さかいゆう)
25.September(EPO)
26.瑠璃色の地球(吉田美奈子)
27.ガラスの林檎(吉田美奈子)
28.花いちもんめ(はっぴいえんど【松本隆、細野晴臣、鈴木茂】、鈴木慶一)
29.12月の雨の日(はっぴいえんど【松本隆、細野晴臣、鈴木茂】、鈴木慶一)
30.風をあつめて(はっぴいえんど【松本隆、細野晴臣、鈴木茂】、鈴木慶一)
リリース情報
『松本 隆 作詞活動45周年記念オフィシャル・プロジェクト 風街レジェンド2015 live at 東京国際フォーラム ホールA』
2021年12月22日(水)リリース
ブルーレイ2枚組 全38曲収録 / 三方背BOX / ブックレット(全100ページ)
11,000円(税込) / 品番:COXA-1286-7
収録日:2015年8月21日(金)&22日(土)
会場:東京国際フォーラム ホールA