この映画を貫く“歌”の持つ強さを、これからヴォーカリストとして生きていきたいと夢見る、すべての若者に観てほしい。

この秋、2021年に歌好き＆ヴォーカリストが絶対に観ておきたい映画が公開された。タイトルは『リスペクト』。“ソウルの女王”と呼ばれ、『ローリング・ストーン』誌が選ぶ「史上最も偉大な100人のシンガー」第一位に輝いたアレサ・フランクリンの、青春期からスターへ駆け上がる時期を描いたエンターテインメント作品だ。

主演は『ドリームガールズ』（2006年）でアカデミー賞®助演女優賞を受賞、さらには歌手としてグラミー賞を制した経歴を持つジェニファー・ハドソン。2018年にその生涯を閉じたアレサ本人が生前に自身の役を指名しただけあって、作品で聴けるソウルフルかつパワフルな歌声は、間違いなく本作最大の見どころ、聴きどころとなっている。

ストーリーも史実に基づいており、牧師の娘として生まれた天才少女が歌手を夢見て成長していく姿、若くして飛び込んだショービズの世界での挫折、恋愛の苦悩……。スターとなったのちも公民権運動、女性解放運動に貢献したアレサの芯の強さが、ジェニファーの歌声とともに表現されていく。

ディープな音楽好きにとっては、デビュー後に鳴かず飛ばずのアレサが訪れた、あるスタジオでくり広げられたセッション・シーンも注目だろう。他にも素晴らしい音楽が生まれる奇跡の瞬間が魅力的に描かれ、音楽への愛情深きスタッフのこだわりが存分に感じられる。

改めて言おう。この映画を貫く“歌”の持つ強さを、これからヴォーカリストとして生きていきたいと夢見る、すべての若者に観てほしい。それこそが“ソウルの女王”が残してくれた最大の功績なのだから。

---

＜ストーリー＞ 私を輝かせるのは、この“声”

少女の頃から抜群の歌唱力で天才と称され、煌びやかなショービズ界の華となったアレサ（ジェニファー・ハドソン）。しかしその裏に隠されていたのは、尊敬する父（フォレスト・ウィテカー）、愛する夫（マーロン・ウェイアンズ）からの束縛や裏切りだった。極限まで追い詰められる中、すべてを捨て自分の力で生きていく覚悟を決めたアレサは、ステージに立ち観客にこう語り掛ける。

「この曲を、不当に扱われている全ての人に贈ります」

自らの心の叫びを込めたアレサの圧倒的な歌声は、やがて世界を歓喜と興奮で包み込んでいく──。

---

公開情報

オリジナル・サウンドトラック

01. There Is A Fountain Filled With Blood／ゼア・イズ・ア・ファウンテン・フィルド・ウィズ・ブラッド
02. Ac-cent-tchu-ate The Positive／アクセンチュエイト・ザ・ポジティヴ
03. Nature Boy／ネイチャー・ボーイ
04. I Never Loved A Man (The Way I Loved You)／貴方だけを愛して
05. Do Right Woman – Do Right Man／恋のおしえ
06. Dr. Feelgood ／ドクター・フィールグッド
07. Respect ／リスペクト
08. (Sweet Sweet Baby) Since You’ve Been Gone／シンス・ユーヴ・ビーン・ゴーン
09. Ain’t No Way／エイント・ノー・ウェイ
10. (You Make Me Feel Like A) Natural Woman ／ナチュラル・ウーマン
11. Chain Of Fools ／チェイン・オブ・フールズ
12. Think／シンク
13. Take My Hand, Precious Lord ／テイク・マイ・ハンド、プレシャス・ロード
14. Spanish Harlem／スパニッシュ・ハーレム
15. I Say A Little Prayer for You／小さな願い
16. Precious Memories／プレシャス・メモリーズ
17. Amazing Grace／アメイジング・グレイス
18. Here I Am (Singing My Way Home)／ヒア・アイ・アム（シンギング・マイ・ウェイ・ホーム）
※ジェニファー・ハドソン　オリジナル曲