【ライブレポート】UNISON SQUARE GARDEN 〜色褪せないロックサウンドが鳴り響いた一夜
2024.05.14
取材・文:島村花、撮影:Viola Kam (V'z Twinkle)
今年結成20周年を迎えたUNISON SQUARE GARDENによるリバイバル企画『Revival Tour “Catcher In The Spy”』。2014年に発売したアルバム『Catcher in the Spy』のリリースツアーと同じセットリストを20年目の彼らが披露するというファン垂涎のライブだ。
取材・文:島村花、撮影:Viola Kam (V’z Twinkle)
20年間、数えきれないほどのステージのオープニングに色を添えてきたSE「絵の具」(イズミカワソラ)は当時から変わらず。スポットライトに照らされた斎藤宏介(vo、g)がアカペラスタイルで歌い始める「黄昏インザスパイ」でライブがスタートすると、サビでは黄昏の情景を表すようなオレンジとパープルが溶け合うライティングが会場を彩る。曲が終わるや否や鈴木貴雄(d)はジャケットを脱ぎ捨て、ヘビーなイントロが象徴的な「サイレンインザスパイ」で一気にロックムードへ突入。メンバーの後ろの垂れ幕が落ち、『Catcher In The Spy』のジャケットが現れる演出に胸が高鳴った。
3曲目は、視界がぐんと開けるような爆発力を持つ「オリオンをなぞる」を披露。2011年に5thシングルとしてリリースされた本曲は、UNISON SQUARE GARDENの人気を急加速させた、バンドの20年史の中でも大きなターニングポイントに位置づけられる1曲だろう。『Catcher In The Spy』の中でも最も攻撃的なサウンドを秘めた「流れ星を撃ち落せ」のラスサビ前では、斎藤のギターが会場を切り裂く閃光のように鳴り響いた。「箱庭ロック・ショー」、「to the CIDER ROAD」からは『Catcher In The Spy』以前のUNISON SQUARE GARDENがまとっていた瑞々しいロックモードが感じられ、このアルバムがユニゾンのロックサウンドの幅を大きく広げ、“攻める”ロックスタイルを確立していった分岐点だったのだと実感させられる。
田淵智也(b)の奏でるゆったりとしたベースビートが心地よいミドルバラード「君が大人になってしまう前に」でセンチメンタルな感情を揺さぶられたかと思えば、程よく力の抜けたイントロのギターリフから始まる「メカトル時空探検隊」でユニゾンらしいポップな世界観へと導かれる、忙しくも楽しいセットリストとなっている。続く「何かが変わりそう」、「シャンデリアワルツ」はライブでより一層輝きを放つ2曲だ。全力で声出しポイントに参加する人や、キメの瞬間拳を強く突き上げる人、ビートに身を委ねる人、それぞれの自由な楽しみ方で会場がひとつになっていくのが感じられた。
「蒙昧termination」でライブも折り返し。目眩がするようなサイケデリックなライティングが会場を覆っていく。そしてここで2009年リリースの1stアルバム『UNISON SQUARE GARDEN』より「WINDOW開ける」を披露。バンド初期に作られ、当時は若いエネルギーが満ちていた楽曲だが、近年セトリに入ることも多く、バンドの成熟に合わせてよりストイックに、タフに変化していっている1曲のように思える。高まる熱量を保ったまま「シューゲイザースピーカー」へ続きながらも、不必要な余韻は残さない潔いアウトロが美しい。
『劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-』の主題歌にもなった「harmonized finale」はピアノの旋律と3人のロックサウンドが気持ちよく溶け合う1曲。前出の「オリオンをなぞる」から始まり、「リニアブルーを聴きながら」(2012年)、「harmonized finale」(2014)、そして2022年には「kaleido proude fiesta」と、「TIGER & BUNNY」シリーズとUNISON SQUARE GARDENの関係も、20年のキャリアの中で築かれた特別な絆といえるだろう。
UNISON SQUARE GARDENのライブといえば、鈴木のドラムソロ〜斎藤・田淵が加わるセッションパートも見逃せない。本ライブで新セットを組んだという鈴木の荒ぶるようなパワー感が炸裂するドラムソロに、会場からは熱い声援と拍手が贈られた。ユニゾン屈指のキラーチューンでもある「天国と地獄」で上がりまくったボルテージをそのままに、アッパーチューン「カラクリカルカレ」へ続く。
稲妻のように会場を走るライティングが印象的だった。そして間髪入れずに「桜のあと(all quartets lead to the?)」を披露。本曲はオリジナル音源ではシンセサイザーが取り入れられているが、ライブでは同期させずに3人だけで演奏することが多い。3人の楽器とそして歌声だけとは思えない音圧に、毎回感動させられる1曲だ。
「crazy birthday」、「場違いハミングバード」とライブでの鉄板曲で本編を華やかに締めくくり、休憩もそこそこにアンコールへと応えた3人。思わず体が動いてしまうダンサブルな楽曲「instant EGOIST」では、メンバーの演奏が一時停止するアクシデント⁉️……と思いきや、こちらも10年前のツアー演出を再現したもの。田淵のコールによって演奏は再開され、「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」へと続く。ステージを縦横無尽に走り回り、ついには寝転んだままベースを奏でる田淵、そんなマイペースぶりもお構いなしに涼しい表情のままギターをかき鳴らす斎藤、音源を上回る手数で曲を進行していく鈴木。阿吽の呼吸で繰り広げられるパフォーマンスが20年目も変わらずそこにあった。「instant EGOIST」にフレーズが隠されていた「23:25」でフィナーレを飾った『Revival Tour “Catcher In The Spy』。
結成日となる7月24日にはバンド初のベストアルバム「SUB MACHINE, BEST MACHINE」のリリース、同日に日本武道館でのライブ『ROCK BAND is fun』を開催。翌25日にはストリングスやブラスセクションを加えたライブ『オーケストラを観にいこう』、26日はクリープハイプとの対バンライブ『fun time 歌小屋』を行う。さらに9月からはベスト・アルバムを携えた全国ツアーが大阪城ホールより開催される。まだまだお祝いムードが高まるUNISON SQUARE GARDENから目が離せない。
『Revival Tour “Catcher In The Spy”』
2024年4月24日(水)NHKホール
SET LIST
01. 黄昏インザスパイ
02. サイレンインザスパイ
03. オリオンをなぞる
04. 流れ星を撃ち落せ
05. 箱庭ロック・ショー
06. to the CIDER ROAD
07. 君が大人になってしまう前に
08. メカトル時空探検隊
09. 何かが変わりそう
10. シャンデリア・ワルツ
11. 蒙昧tetrmination
12. WINDOW開ける
13. シューゲイザースピーカー
14. harmonized finale
15. 天国と地獄
16. カラクリカルカレ
17. 桜のあと(all quartets lead to the?)
18. crazy birthday
19. 場違いハミングバード
<ENCORE>
20. instant EGOIST
21. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ
22. 23:25