【インタビュー】なかねかな 「モテすぎて草、誘ってて森」で“TikTok流行語大賞2021”受賞! パワフル歌唱力の“なかねかな”と、4コード・ソングライター“ゆでたまご安井”を直撃!

取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine Web)

“TikTokでよく見るイケメンが〜”という歌唱動画が話題となり、「モテすぎて草、誘ってて森」がTikTok流行語大賞2021の大賞に輝いたのが、“なかねかな”という男女ユニットだ。

ヴォーカルと作詞を担当する“なかねかな”と、作曲・ギター担当の“ゆでたまご安井”の2人が、日常の“あるある”や、実体験に基づいた“やらかしエピソード”を歌ネタにして日々投稿している。特に元・劇団四季の研究生という経歴を持つ、なかねのパワフルな歌唱力は圧巻。4つのコードしか弾か(け)ないという安井のメロディセンスと相まって独自の世界観を生み出している。

そんな2人は「モテすぎて草、誘ってて森」でなんとメジャー・デビューし、12月6日(月)に新曲「ハッピーバースデー己」をリリースしたばかり。
“自分で自分を思いっきり祝っちゃおう!”という超ポジティブなメッセージと、突き抜けるような力強い歌声で聴く人たちを元気にしてくれる。

実は根が真面目で努力家(だと思われる)なかね自身のヴォーカル遍歴と2人の音楽制作の裏側を、漫才コンビばりに息の合った掛け合いでお届けしていこう!

ダンスがヘタで、劇団四季をクビに……

──なかねかなさんは、今、日本で一番“歌唱力の(贅沢な)無駄づかい”をしているアーティストだと思っているんですよ。

なかね (安井を見つつ)あ〜、それめっちゃ嬉しいな。一番の褒め言葉ですね、それ。ありがとうございます。

安井 だいぶ無駄づかいしてるもんな。

──ここまで無駄づかいしてくれると気持ちいいなって。

なかね ハハハ、潔い。

──まず2人の音楽的なルーツを聞かせてください。

なかね 私はミュージカルの劇団の研究所に入ったのが歌を始めたきっかけですね。

───そこまでは本格的に歌ってなかったんですか?

なかね まあ、趣味程度に。みんなでカラオケ行ったら、ちょっと歌うまいねって言われるぐらいはやってましたけど。ちゃんとレッスンを受けたのは研究所が初めてです。

──そうなんですか!? でも、そこが劇団四季の研究所なんですよね。そもそも受かるのはめちゃくちゃ大変じゃないですか(倍率は何十倍)。

なかね いや……そうなんですけどね。お芝居と歌とダンスと、まあ、いろいろ部があって、お芝居と歌は問題なかったんですけど、ダンスがヘタ過ぎてクビになりまして。受かるのもレアだと思うんですけど、これはこれで、まあまあのレアです(笑)。

安井 そもそも、ミュージカルの人って、大体ダンスできるもんな?

なかね そやな。ダンスできる人が入ってくるからな。

安井 基盤やからな。

なかね うん、おかしいねん。

──いやでも、まぐれで受かるものではないですよね。

なかね そうですね。ピアノはやってましたけど……まあ、オーラがあったんでしょうね。

安井 全然ちゃう思うけどな。

なかね ちゃうかな?

安井 違うと思う。じゃあダンスでクビになれへん。

なかね 確かに。

──研修期間は1年くらい?

なかね はい。約1年間です。レッスンを毎日やって、ちょこちょこテストがあって、最後にすごく大きなテストみたいなのがあるんですね。それを通過すると正式な団員になれるんですけど、ここで“もうダメです、クビです。バイバイ”って(笑)。

安井 そういうことなんや。集大成を見せつけるところで……。

なかね そうそうそうそうそう。そこで……踊れなかったですね、あまりにも(笑)。自分でもビックリするくらい。

安井 そういうことか、それは知らんかった。初めて聞いたわ。

──その頃、安井さんは何をされていたんですか。

安井 僕は音楽関係はまったく何もしなくて。ずっと普通に仕事してたんです。それで共通の知り合いがおって、かなちゃんと出会って……。僕、小学校5年生ぐらいから、ずっとギターのコードを4つだけ弾けるんですよ。

──キャリアけっこう長いですね(笑)。

安井 けっこう長いです。

なかね 私の歌歴よりも全然長いね。

安井 12歳からだから……14年ぐらい。まあ、ずっとコード4つしか弾けないけど。2年くらい前にかなちゃんと会って、“一緒にやろうか”ってなってから、また弾き出した感じなんです。

──その間もずっと弾いてました?

安井 弾いてないです。だからブランク10年くらいです。

なかね ブランクって言ってええんかな? 果たして。

安井 結局2年ぐらいしかやってないですけど、初めて小5でギターに触って覚えたコード4つは、久々に触っても覚えてて弾けたんです。

なかね だから(安井が)音楽をやり始めたのは、ホンマ2年前ぐらいです。

──なるほど。僕、前に『ギター・マガジン』編集部にいたので、伝えておきます!

なかね ごめんなさい、やめてあげてください(笑)。心痛くなっちゃってるから。

安井 どんな気持ちでしゃべったらいいかわからへん(笑)。

──Charさんの次のページとかで。

なかね ホンマにギターのスペシャリストの次に、ギタリストと呼んでいいかもわからんぐらいの人間が……。

安井 初めてブチるかもしれない。

なかね 仕事をな(笑)。

──(笑)。すいません、戻りますね。劇団四季の研究生ってどんな練習をするんですか?

なかね 学校の1クラスぐらいの人数が同期で、歌のレッスンは、そのうちの5〜6人でグループを組んで教室に行き、ひとりずつ先生の前に出て受けてましたね。発声もやるし、歌を聴いて生徒がどの役に合っているのかを先生が判断して、曲を決めて練習したり。あとは先輩も含めて全員で合わせる呼吸法。劇団四季ってすごく有名な呼吸法があって、それは毎日ありました。

──日中はずっとレッスン?

なかね そうです。朝7時から11時くらいまで朝礼とかレッスンを受けて、お昼休憩を挟んで午後のレッスンに行って終わりです。小学校とかと一緒ですね。

──すごい役立ったなとか、目からウロコみたいなことは?

なかね 本当に全部ですね。呼吸法は今もためになってることですし、すごい初歩的なレッスンなんですけど腹式呼吸だったり、基礎的なところで学んだ部分は大きいです。ただ、やっぱりミュージカルなので、ポップスとかと歌い方は全然違うんですよ。

──今の活動に、演技は役立ってるのでは?

なかね う〜ん、まあ確かにね……。

安井 顔芸とか(笑)。

なかね そこ? まあ、たまにミュージカルっぽくふざけたりとかするのには役立ってるけど、私、大学も演劇系だったんですよ。そういうのが今は役立ってます。

─なかねさんのYouTubeチャンネルの初期、2018年に上がっている動画で、ニューヨークのアポロシアターでビリー・ジョエルの「New York State of Mindを歌っているという、とんでもないものがあるんですけど。これは一体?

なかね あ〜、アポロの流れですか? はい、四季をクビになるじゃないですか。そのあとにミュージカルを学ぼうと思ってアメリカ行ったんですよ。でもやっぱりダンス無理やなってあきらめて。でまあ、気づいたら歌1本でガーッて行った時にアポロシアターでステージを観に行き、“うわ、カッコいいな、出たいな”と思いオーディションを受けて、それに通り(ステージで)歌ったという流れですね。途中でミュージカルっていうよりも、歌だけちょっと伸ばしてこうっていうほうにシフトしていったのがきっかけですね、それは。

──アメリカにはどのくらい行ってたんですか?

なかね 合計で1年間ぐらいですね。ちょこちょこ日本に帰ったりとかしてましたけど。歌とかダンスとか、いろいろ勉強するために行きました。

──めちゃくちゃ真面目じゃないですか。

なかね めっちゃ真面目なんすよ(笑)。こんなことやってるんですけど。自分でもビックリしてる、うん。

──そこですごい歌声を披露してるんですけど、初期の頃はいわゆる王道の「歌ってみた」を何本か上げてます。

なかね 当初YouTuberの事務所みたいなところに入ってたんですけど、その時いろんな人からアドバイスを受けて、“とりあえず「歌ってみた」やってみたら?”みたいな感じで、言われるがままやってた感じです。まあ、あんまり自分の意思ではないけど、“最近SNSとかの時代やし、ちょっとずつやってたほうがいいのかな?”ぐらいの気持ちでしたね。

──いろいろと試行錯誤してる感じでした?

なかね その時はそうですね。本当にこのまま続けて、これでいいのかな?みたいに思いながら、とりあえず載っけてた感じでした。

──現在のTikTokのキャラで有名になってくると、過去の違う側面が気恥ずかしくて削除する人もいそうじゃないですか。でも残しているのがカッコいいなと。

なかね ……たぶん(削除することを)忘れてるだけ……です。

──そうなんですか、言わなきゃよかった(笑)。このインタビュー記事がアップされて、読者が見に行ったら削除されていたとか、ナシですよ(笑)。

なかね 絶対消しません、大丈夫です! カッコいいのほうで残しておきますから!

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