取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)
清水美依紗が、5月17日(水)に3rd Digital Single「Home」をリリースした。
デビュー前からディズニープリンセスの祭典日本版オリジナルテーマソングを歌唱し、昨年4月に満を持してメジャーデビューを果たした彼女。今作は清水がひとりで作詞を担当した、初のバラードソングとなっている。
長い時間をかけて辿り着いた言葉のひとつひとつに、さまざまな表現のアプローチを経て完成した「Home」。5〜6時間のレコーディングの中で、さらに磨き上げていったというその道のりとは。ヴォーカル・マガジン・ウェブでは、リリースまでの制作秘話、最近のボイトレ事情、現在の理想のヴォーカリスト像などを訊いた。
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いろんな遠回りや空回りをしながら書きました
──『ヴォーカル・マガジン・ウェブ』では昨年のデビュー時にもインタビューをさせていただきました。約1年が経ちましたが、歌に対する姿勢や考え方の変化はありますか?
清水 しいて言えば、半年前にスランプがありました。その時期はうまく歌が歌えなかったんですけど、私がすごく信頼しているヴォイストレーナーの方に助けてもらって、何とか持ち直すことができました。
──スランプに入ってしまった要因があったのでしょうか。
清水 同じ曲を何回も歌うことが多く、喉が疲れてきて、感情が乗らなくなってしまったのがきっかけでした。
──ヴォイストレーナーの方は、どんなところを助けてくれましたか?
清水 一番は精神面です。今まで独学に近い形で歌を吸収してきたんですけど、独学では気づかなかった部分に改めて気づくことができて、そこがすごくモチベーションになりました。“あぁ、もっと歌がうまくなりたい”って思いましたね。
──5月17日には3rd Single「Home」が配信リリースされましたが、制作がスタートしたのはいつ頃でしたか?
清水 制作がスタートしたのは昨年の冬ぐらいです。というのも、昨年の秋に父が亡くなったことが楽曲の歌詞を書くきっかけで、そのあとから制作を始めました。
──3rd Singleで清水さんが作詞を担当することは、前々から決まっていたのですか?
清水 もともと“バラード曲を出したいね”とスタッフ間で話していたんですが、父が亡くなったことで状況が変わってしまって。書くか書かないか葛藤する中で、“書く”ことを決めました。
──作詞すると決めてからは、最初に歌詞のテーマとなる部分を考えていったのでしょうか。
清水 この曲は“家族”という大きい意味での愛の曲なんですけど、父が亡くなってからすぐに父にフォーカスを当てた曲を書くのは、気持ち的にもすごく辛くて。私の中で消化しきれていない状態で書くのは大変だったので、すごく迷っていましたし、他のテーマでも書いてみたりしてたんですけど……。やっぱり一番書きたかったのは家族のことなんだなって気づきました。
──歌詞を書くときに、メロディは先にあったのですか?
清水 メロディが先にあって、デモをいただいてからテーマを決めて書きました。
──最初に出てきたのはどんな言葉でしたか?
清水 タイトルの「Home」という言葉が最初に出てきましたね。そこから深く歌詞を追っていくのがすごく大変で、時間がかかりました。サビの部分はあらかた決まっていたんですけど、AメロとBメロを作っていくのが大変でした。
自分の思っていることを言語化するのが難しかったのと、歌詞を書くと同時に父が亡くなったという現実に向き合っていかなきゃいけないこともあって、最初はすごく抽象的に書いてしまったり。歌詞の中にもあるんですけど、いろんな遠回りや空回りをしながら書きましたね。