【インタビュー】実力派オネエユニット“エンガブ”が明かす音楽の原体験と“航海”を掲げた最新アルバム制作秘話
2024.05.29
取材・文:榊郁乃 Photo:Jumpei Yamada
レコーディングではその場で突発的に起きることが大事(Takassy)
──みなさんそれぞれの形で音楽に触れたのち、ENVii GABRIELLAという唯一無二のユニットが生まれたんですね。さて、ニューアルバムについてのお話も聞かせてください。『DVORAKKIA』ではTakassyさんとHIDEKiSMさんの多彩なヴォーカルの表現が際立っていますね。
Takassy ヴォーカルの表現について、気づいてもらえたのですね! 「歌い方変えたんだよね〜」って言っても、聴いてくれる方によっては変わってないように感じることもあると思うので、そういう風に聴こえたのだったら、すごく良かったです。
──レコーディングの際は、Takassyさんがディレクションするんですか?
Takassy そうですね。レコーディングの前に私が仮歌を入れた音源をHIDEKiSMに渡して、その時点で自分の歌はほぼ出来上がってる状態にはしてあるんです。でも、その場で突発的に起きることのほうが大事だと思っているので、 HIDEKiSMには現場でひとつひとつ細かく相談しながら歌ってもらってます。
HIDEKiSM 私たちってYouTubeの撮影でも、トライ&エラーが結構テーマにあって。なんでもまず1回やってみて、そこからいいものを選んでいこうみたいな感じは、楽曲を作るうえでも生きてますよね。今作だと、それこそ入れるつもりなかったと思うんですけど、『Cerry Pie』って曲で「ちょっと猿の鳴き声やって」ってリクエストがありました(笑)。
Takassy もともとHIDEKiSMの持ちネタに“メスのオラウータンのモノマネ”があって(笑)。別に曲に入れるつもりなかったんですけど、ちょっとネイチャー感を出したいなと思ったときに、動物の鳴き声……あ、あるじゃん、ここに!みたいな。やってもらったらいい感じにジャングル感出たよね。
HIDEKiSM アハハハ♡(笑)。『Cherry Pie』では、私がラップのフロウで「パーレー(party)」って歌ってたら、Takassyが「おもしろいパーレー言うじゃん」みたいな感じで、そのフレーズを冒頭にも入れてもらったりとか。その場で生まれるものがあって、おもしろいですね。
──Kamusさんは『DVORAKKIA』を初めて聴いたとき、ふたりのボーカルにどんな印象を受けましたか?
Kamus やっぱり曲によって声色が全然違うところが印象的でした。『Cherry Pie』の話ばっかりになっちゃいますけど(笑)、私もアルバムのなかで特に好きな楽曲のひとつです。Chillな雰囲気で、背もたれに寄っかかりながら肘ついて片手に酒でも持ちながら歌ってるような感じで、しっかりレゲエ感が出ていて乗りやすくて。これまでのエンガブにないような感じの歌い方が好きですね。
──3人がアルバムのなかで特にお気に入りの楽曲や、アピールしたいポイントは?
HIDEKiSM 私が特にお気に入りなのは『Petal Dance』。今流行りのジャージークラブのビートを取り入れていて、とにかくおしゃれ。私とTakassyが掛け合いするパートがあるんですけど、そこがすごい乗れるし、聴いてて耳心地がいいんじゃないかな。耳心地? 聴き心地?
Takassy どっちでもいいんじゃない。耳掃除。
HIDEKiSM よく家でお皿とか洗いながら、ノリノリで聴いてます♡
Takassy お皿洗いながら……宇多田ヒカルさんみたいに? どんなーときだって♪(※編注:宇多田ヒカル『光』のMVに皿洗いのシーンあり)
HIDEKiSM そうそう。最近ベストアルバムも出ましたけど。って、宇多田さんの宣伝じゃないからぁー!
Takassy あの曲、名曲だから!
HIDEKiSM ちなみに英語バージョンもいいから!
Kamus もうええってー!(笑)
──『DVORAKKIA』のPRをお願いします!(笑)
3人 アハハハハハ!(笑)
Kamus そうだからー!
Takassy そうよー! インタビュアーの方に初めて怒られたわよ!
HIDEKiSM (サッと切り替えて)『Petal Dance』はふたりがもともと持ってる声質を上手く重ね合わせた掛け合いの部分が、すごくお気に入りです♡
Kamus 私は、本当イチオシと言っても過言ではないくらい好きなのが、先ほども話に出た『Cherry Pie』と、『僕の名を持つ君へ』です。『僕の名を持つ君へ』はカントリー調の曲で、自分がダンサーだからなのもあるんですけど、音に乗っててすごく気持ちがいいんです。歌詞はメッセージ性が強くて、それに合わせてふたりの歌い方もちょっと拳を効かせて力強いところがあるので、ライブでもメッセージが存分に伝えられるようなパフォーマンスをしたいです。
Takassy 作曲者としてはこの質問は激ムズ問題なんですけど、あえて挙げるなら『Sail On』ですかね。アルバムの最後に持ってきてますし、 メッセージとしては純粋に届けたい気持ちが一番強い曲なので、『DVORAKKIA』をパーッと聴いたとき、最後にこの曲が印象に残ってほしいなと思います。