【インタビュー】鈴華ゆう子(和楽器バンド)、さらなる雅な表現へ。「和」と「自分たちらしさ」を再確立した自信作『I vs I』を語る

2023.07.28

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

女性らしい「雅」を描く、和の歌詞世界

──作詞作曲をご担当された「宵ノ花」。この曲は和楽器も旋律も言葉の選び方も美しくて、何回も聴いてしまいました。

鈴華 ああ、嬉しい。

──頭に描いた世界観をどうやって言葉やメロディに落とし込んでいったのですか?

鈴華 これは療養中に書いたので自分自身の闘いも表現したかったのですが、“こんなに大変な闘いがあるんだ”という現実を受け入れ、それに向き合う強さや決心をサビにいく中で表現しようと思ったんです。一方でAメロあたりは夢うつつで、自分の幸せだったときの世界や美しい景色を行ったり来たりしてるんですね。旋律でもそれを出したいなと考えて、《夢》《故》、《蝶》《葉は》、《揺れ》《由来》ってふたつセットで行き来してるのわかりますか? かたまりで(音が)上と下に行き来することで、現実と夢とをうつつに彷徨っているさまを表現しました。

また、歌詞をはめるときは、蝶がひらひらと飛んでいるような夢の世界や、揺れ動くような景色……そんな情景がパッパッと浮かんでくるような言葉を選んでいきました。あと、やっぱり戦いのときってどんなに大人になっても、誰しも母親への想いを浮かべたりすると思うんです。それを《お母さん》と直接書かずに《母なる大地》という言葉で“広い母”といった意味合いを持たせていて。そんなことがよぎる世界から始まる曲になっています。

──コード感とメロディは一緒にできていきましたか?

鈴華 そうですね。曲を作るときは3つ折りの88鍵を持ち歩くときがあって、ピアノがなくても頭の中で(音が)鳴るけれど、それを整理整頓する用に一応ピアノを使うんです。最初は寝っ転がりながら鼻歌とか、お風呂で気分いいなと思ったら急いでボイスレコーダーに入れるとか、いろんな断片を集めて曲を作ることが多いですけど、このときはずっと病院にいたので、フッと浮かんだら、横になりながらも歌って、そしてグッと起き上がって音にするということやっていたんです。頭の中の音を答え合わせする感覚でコードは当てていきますね。

──メロディもコード感も最初から鍵盤の音として頭で鳴っているんですね。

鈴華 もう鍵盤以上の音が鳴ってますね。私の中ではけっこうオーケストラが鳴っていて(笑)。バンドの編成とは違いますが、そういう縛りがないスケールで浮かぶことが多くて、すごくシンプルなピアノサウンドで鳴るときもあるし、壮大なオーケストラが鳴ってるときもあって。イメージのままいったん旋律とコードに起こして、そこからバンドアレンジに落とし込んでいくこともあります。

──完成形のイメージが最初からわりと見えていたりするんですか?

鈴華 断片的にですけどね。曲全体が「こうだ!」と鳴るのではなく、そのときの断片的な旋律ではこんな感じかな?って閃くときはなんとなくイメージが鳴っていますね。

──《君がまにまに》という言葉を始め、歌詞から和歌の世界観も感じます。古語や和の言葉は自然と浮かんでくるものでしょうか?

鈴華 やっぱり常に勉強も必要だなとは思います。間違えたくないですし、このバンドをやってるからこそ意識的にモノを読んだり、気づいたらどういう意味だろうって調べたりしています。

また、今作のタイアップは戦国系が多かったのですが、楽曲を手掛けるメンバーがウチのバンドは男性が多いので、女性らしさの雅(みやび)な感じを描くなら私の役目という自負があるんです。それにはやっぱり言葉で美しさや柔らかさを出したくて。

「宵ノ花」はゲームアプリ『真 戦国炎舞–KIZNA–』オープニングテーマということで、ドカーン!とした曲なのかなと思いきや、イントロはドカンとくるけど、Aメロでスッと引いて言葉を紡いでいく。儚さ、女性らしさもあるような曲が作りたかったので、言葉もそんなふうに選んでいます。

──鈴華さんの紡ぐ“和の歌詞”に憧れる方もたくさんいらっしゃると思います。言葉のインプットについて、もう少し教えていただけますか。

鈴華 例えばですけど、プライベートで美術館にフラッと行って、何か説明が書いてあって、どういう意味だろう?と思ったらすぐに検索して。あ、これ良いなと思ったら、すぐメモメモ、みたいな感じです。それこそツアー先で神社仏閣に行くのも好きだったりするので、“こういう物語がここにはあって〜”という説明文があったりするじゃないですか。それを見て、ああ、曲にしたいなという瞬間が時々あるので、日常の中で出会ったときに意識的にメモをするようにしています。自ら専門的に学ぶぞ!とかはやってないんです。

──ありがとうございます。それでは今作の聴きどころを教えていただけますか。

鈴華 今回のアルバムは本当に「和楽器バンドってこうだよね」というバンドの完成形が集まってると感じていて、原点である「和」を非常に感じられるアルバムになっています。和が好きな人はぜひ聴いてほしいですし、そんなに和を求めてなかった方へも気づきになるようなものがあると思います。また、海外の人たちにもぜひ聴いていただきたいです。『ボカロ三昧2』はわりと時代の流行りに寄り添ったのですが、今回のアルバムは自分たちにしかできないものに特化して作った形ですね。ブレない我々という感じで。

──自分たちの武器で戦うぞ、と。

鈴華 結局流行ってるものをやると、流行りって先に行くので後追いになるじゃないですか。そうじゃなくて、自分たちのやってるものがブレないようにしていると、そのほうが先に行く瞬間って絶対あると思うんです。もちろん時代で変化したり、トレンド感が出たりもあると思いますけど、やっぱり軸にある部分はブレないようにやり続けて、そして良いと思ってくださる方々に届けたいという想いで作ったアルバムでもあります。

──今後、和楽器バンドのツアーも控えています。ライブの見どころを教えていただける範囲でお願いできますか。

鈴華 和楽器バンドの全国ツアーでは、もちろんアルバム全曲をやる予定です。また、和楽器バンドならではのライブと言えば、初めて曲を聴く方でも楽しめるエンターテイメント性に長けたパフォーマンスが売りです。老若男女楽しんでいただける演出を常に意識していますし、今回声出しも解禁されて、タオル回しなどもきっとできるようになると思うので、エンターテイメントパークに行くような気分で来ていただけたら、必ず楽しい時間をお届けできると思います。

──今年1年はどんなふうに走っていく予定ですか?

鈴華 昨年は半年以上動けない時期があったので、今年はなるべくたくさんみなさんの前に立って、感謝を伝えていく1年にしようと思っています。なるべく直接お礼に伺いたいですし、生の声を聴いてほしい。これが私個人のテーマですね。


リリース情報

アルバム『I vs I』
2023年7月26日(水)発売

◇収録曲
01. The Beast(アニメ『範馬刃牙』野人戦争編オープニングテーマ)
02. 宵ノ花(ゲームアプリ『真 戦国炎舞-KIZNA-』オープニングテーマ)
03. 愛に誉れ (『スマパチ義風堂々!!~兼続と慶次3』テーマソング)
04. 生命のアリア(TV アニメ「MARS RED」オープニングテーマ)
05. 修羅ノ義(『スマパチ義風堂々!!~兼続と慶次3』 テーマソング)
06. 藍より青し(ゲームアプリ『真 戦国炎舞-KIZNA-』合戦テーマ)
07. Interlude ~Starlight~
08. Starlight (I vs I ver.)(フジテレビ系⽉9ドラマ「イチケイのカラス」主題歌)
09. そして、まほろば
10. 時の方舟
11. BRAVE
-Bonus Track-
12. 星の如く(すとぷり提供楽曲 セルフカバー)
13. 名作ジャーニー(アニメ「あはれ!名作くん」主題歌)

◇商品形態
・初回限定「ボカロ三昧2 大演奏会」盤(CD+Blu-ray)7,700円(税込)
・初回限定「vs」盤(CD+Goods)6,050円(税込)
・CD Only盤(2CD)3,850円(税込)
・真・八重流(FC限定)盤 (上記全3形態+DVD)18,150円(税込)

初回限定「ボカロ三昧2 大演奏会」盤
初回限定「vs」盤
CD Only盤

◇各形態収録詳細
■ 真・八重流盤(FC限定)盤
全3形態(初回限定「ボカロ三昧2 大演奏会」盤+初回限定「vs」盤+CD Only盤)+DVD
※受注生産による完全限定盤 18,150円(税込)/ PROS-1929
※受付終了
□ 初回プレス限定封入特典
□ トレーディングカード(絵柄A、B、Cのいずれか全9種入り)
[DVD収録内容]
アートワーク撮影のメイキングとメンバーの個別インタビュー収録

■ 初回限定「ボカロ三昧2 大演奏会」盤
CD+Blu-ray 7,700円(税込)/UMCK-7217
□ 初回プレス限定封入特典
□ トレーディングカード(絵柄A) 全9種類の内1枚ランダム封入
【Blu-ray収録内容】
2022年8月より全国23都市で開催された「ボカロ三昧2 大演奏会」から東京・中野サンプラザホール公演を完全収録!
「ボカロ三昧2 大演奏会」(全18曲)
Overture〜ボカロ三昧2 大演奏会〜
フォニイ
エゴロック
グッバイ宣言
Surges
天ノ弱
紅一葉
アイデンティティ
ナイト・オブ・ナイツ
ド屑
ベノム
いーあるふぁんくらぶ
ドラム和太鼓バトル〜打演飛動〜
キメラ
マーシャル・マキシマイザー
Fire◎Flower
<ENCORE>
吉原ラメント
千本桜

■ 初回限定「vs」盤
CD+Goods 6,050円(税込)/UMCK-7218
□ 初回プレス限定封入特典
□ トレーディングカード(絵柄B) 全9種類の内1枚ランダム封入
【Goods内容】
範馬刃牙コラボロゴ使用
・ミニタオル
・アクリルキーホルダー
・ステッカー2種 (範馬刃牙コラボロゴ1種、アルバムロゴ1種)

■ CD Only盤
2CD 税込3,850円/UMCK-1752/3
□ 初回プレス限定封入特典
□ トレーディングカード(絵柄C)全9種類の内1枚ランダム封入
【CD DISC2収録内容】
アルバム全曲のInstrumental収録(CD1枚に収録)

◇ CDショップ各チェーンオリジナル特典
■ UNIVERSAL MUSIC STORE
①真・八重流盤対象:B2ポスター(プリントサイン入り)
②初回限定盤2種、CD Only盤対象:B5クリアカード(8種からランダム1枚)
③初回限定盤2種、CD Only盤 全3形態同時購入対象:B5クリアカード(8種全8枚セット)
※②と③のB5クリアカードの絵柄8種は同一種となります。
※③は3形態まとめ販売の特典となります。そのため、1形態ごとカートへ入れて3形態をご購入されましても、特典は3枚となってしまいます。必ず販売ページより特典記載をご確認ください。

■ チェーンオリジナル特典
・Amazon.co.jp:ミニクリアファイル(絵柄A)
・楽天:ミニクリアファイル(絵柄B)
・TSUTAYA:ミニクリアファイル(絵柄C)
・タワーレコード:ミニクリアファイル(絵柄D)
・HMV:ミニクリアファイル(絵柄E)
・新星堂ワンダーグー:ミニクリアファイル(絵柄F)
・アニメイト:ミニクリアファイル(絵柄G)
・その他一般店共通:ミニクリアファイル(絵柄H)

※上記すべての特典は先着順で、予定数に達し次第予告なく終了いたします。
※一部非対応の店舗もございます。必ず入手されたい方はご予約ご決済の前にお問い合わせ頂くことをおすすめいたします。
※UNIVERSAL MUSIC STORE 真・八重流会員限定はB5クリアカードの対象外となりますのでご注意ください。

ライブ情報

和楽器バンド Japan Tour 2023 I vs I

2023年
7月29日(土)千葉・市川市文化会館
8月13日(日)埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
9月2日(土)愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
9月7日(木)東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
9月18日(月・祝)広島・上野学園ホール
10月1日(日)茨城・水戸市民会館 グロービスホール
10月7日(土)大阪・オリックス劇場
10月9日(月・祝)宮城・仙台サンプラザホール
10月29日(日)福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール

■ チケット料金
<VIP指定席><VIP着席指定席>:15,000円 VIP席専用オリジナルグッズ付(*1)
<一般指定席><着席指定席>:10,000円

※消費税込み
※3歳以上有料/2歳以下入場不可(ただし2歳以下の場合でも膝上鑑賞可能な場合は無料で入場可)
※着席指定席は、小さなお子様、ご年配のお客様、ファミリー、その他ライブを着席してご覧になりたいという皆様の為にご用意させていただく「着席観覧」用のお席です。
※着席指定席:ライブ中は必ず着席して頂きます様お願い致します。
※お一人様1公演につき4枚まで
(*1)グッズは当日会場にて引き換えとなります。会場で販売されるグッズとは異なります。

《VIP席共通サービス》
・優先入場口を設置
・先行グッズ販売時間あり
※VIP席各会場の座席レイアウト(簡易)の確認はコチラ
https://wagakkiband.com/contents/640670

■ 一般発売(先着)
・受付期間:2023年7月1日(土)12:00~
https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=487217
※ローソンWEB会員(無料)への登録が必要です。
※受付終了間際はアクセス集中のため混み合う可能性がございます。お時間に余裕を持ってお申し込みください。
・チケット/受付方法に関するお問い合わせ:ローソンチケットインフォメーション
https://faq.l-tike.com/contact/0010/0136/

プロフィール

鈴華ゆう子(和楽器バンド)
6月7日生まれ 茨城出身。3歳よりピアノ、5歳より詩吟と剣詩舞を学び、2011年12月、『日本コロムビア全国吟詠コンクール全国大会』優勝の経験もある、東京音楽大学ピアノ科卒業の音楽才女。
「伝統芸能を世界へ広げたい」という思いから和楽器バンドを結成、ヴォーカルを担当。ロックに詩吟を融合させ、唯一無二の歌声で圧倒的な存在感を放つ。

■ コラムも合わせてチェック🎵

連載コラム『唄いろは』

関連リンク

和楽器バンド
オフィシャルサイト:https://wagakkiband.com/
YouTube:https://www.youtube.com/@wagakkiband
Twitter:https://twitter.com/WagakkiBand

1 2 3

最新情報

ヴォーカルや機材、ライブに関する最新情報をほぼ毎日更新!