取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)
日記に自分の気持ちを書き留めておくことで、言葉のボキャブラリーが増える
──2nd Single「Niji」の作詞は、zoppさんとの共作でした。ひとりで作詞するという点で新たな発見はありましたか?
清水 やっぱりひとりで書くほうが大変でした。歌詞を書くことは私の中でまだ未熟なことなんです。日記は書いたりするんですけど、いざ歌詞を書くとなると自分の裸を見られているようで、やっぱり抽象的に書いちゃうクセがあるんですよね。
zoppさんと共作で書かせていただいたときに、“わかりやすいものが一番伝わる”と言ってくださって、確かにそうだと思いました。自分が今までいろんな曲を聴いてきて刺さったものやヒットしている曲は、本当にシンプルな歌詞が多いんですよね。
いかに自分の思っていることを言語化して、かつわかりやすくするかというテクニック的な部分を、zoppさんと共作したときにはすごく学べました。だから今回、「Home」という曲をひとりで作り上げることができたと感じますね。
──もともと歌詞よりも日記を書くことが多かったのですか?
清水 日記のほうが多いですね。高校生のときは歌詞を書いたりもしていたんですけど、いつしか歌詞から日記に変わりました。日記は基本的に一言で、ほぼ毎日書いています。「今日は何々がありました」っていうよりは、話し口調で「今日マジやばかった」みたいな感じで書いています(笑)。
──日常のことを書いているんですね。
清水 けっこうストレスを溜めやすい体質で、あんまり人にも打ち明けることもできず、流せないので、それを全部書くことで発散してます。自分の今の気持ちが整理されるので、歌うこともそうなんですけど、“書く”ってすごく大事だなと思いました。
──メンタルのためにも自分の気持ちを言葉にして書くことを意識しているんですね。
清水 そうするように変えました。「Starting Now ~新しい私へ」で初めて訳詞をさせていただいたんですけど、そのあとデビュー曲の「High Five」を作ることになったときに、“あぁ、やっぱり書かなきゃいけないな”って。表現ではないけど、日記に自分の気持ちを書き留めておくことで、言葉のボキャブラリーが増えると思って書くようにしたんです。
──「Home」のレコーディングはいかがでしたか?
清水 レコーディングは1日で、5〜6時間ぐらいで録り終えました。サビの部分はすごくキャッチーで、自分の武器とする高音を歌える部分でもあるんですけど、歌詞と同じでAメロとBメロをどう表現するかが難しかったです。ヴォーカルディレクションを担当したSWEEPさんにたくさんインスピレーションをいただきながら、何回も何回も録り直しましたね。
──SWEEPさんのヴォーカルディレクションでは、ひとつのイメージを形にすることを意識したのですか? それともいろんな表現にトライしていきましたか?
清水 わりといろんな表現をしましたね。苦手なAメロとBメロは音域が低めで、大きな音程差がないメロディだからこそ、歌詞をどうやって声に活かして歌うのかを考えました。抑揚、リズムの取り方、言葉のタッチなど、そういうものを細かく意識していきました。
──レコーディング風景もYouTube ショートなどで公開されていますが、ヘッドフォンを片方だけずらしていました。いつもそうしているのですか?
清水 音域が低いときはヘッドフォンをちゃんと付けて、自分の声を聴きながら録ることが多いんです。でも、高い音になるにつれて、ヘッドフォンから耳に入ってくる自分の声と、外音の自分の声を同時に聴いて、バランスをとりながらレコーディングすることが多くなります。言われるまで気づかなかったんですけど、たぶん片耳だけヘッドフォンをちょっと外して歌うのが、自分にとってレコーディングしやすい状態なのかもしれないです。
──テレビ収録やライブでイヤモニをするときも、片方だけ少し外すのですか?
清水 外からはイヤモニが付いているように見えるんですけど、実はちょっと浮かせて外音の自分の声も聴いています。イヤモニを付けたままだと外の音を遮断している状態なので自分の世界に入りやすいんですけど、私は空間を広く感じて表現したいので、なるべく外の音も聴きながらやっています。
外のモニターから返ってくる自分の声やインストも感じながら歌うと、身体の感覚も自然と大きく感じられるんです。