【インタビュー】金原遼希(YUTORI-SEDAI) メジャーデビューEP「blanket」に込めた想いと、進化を遂げたヴォーカル&ギタースタイルを語る。

取材・文:藤井 徹(Vocal Magazine Web) ライブ写真:白石達也

金原遼希(Vo&Gt)、上原 駿(Ba)、櫻井直道(Dr)による3ピースバンド、YUTORI-SEDAIが4月9日にEP「blanket」でメジャーデビューを果たした。

2020年から現メンバーで本格活動を開始。金原の優しい歌声と女性目線の切ない歌詞が魅力で、2023年リリースの「すき。」がバイラルヒット、「ぎゅっとして、」がABEMA『恋する♥週末ホームステイ』の挿入歌に起用されるなど、インディーズ時代から“日本一優しいバンド”として、その存在は大きな話題となっていた。

今回フロントマンのVo&Gt金原遼希が『Vocal Magazine Web』に初登場。「blanket」収録曲に込めた想い、新たなスタイルに挑んだヴォーカル、さらにはギターについて語り尽くしてもらった。

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──Vocal Magazine Web初登場ですので、金原さんが音楽を始めた頃の話を聞かせてください。

金原 バンドを始めたのは高校1年生で軽音楽部に入ってからです。それまではサッカー少年でしたけど、もう走りたくなくて(笑)。兄の影響でBUMP OF CHICKENさん、ASIAN KUNG-FU GENERATION(以下アジカン)さん、銀杏BOYZさんなどを聴いてハマり始めた時期だったので、バンドっていいなとフワッと思ってたんです。もともと歌が好きだったことと、中学生の頃からカラオケで「いい声をしてる」と言われることがあったので、部活ではピン・ヴォーカルで始めました。

──ギターを始めたのはいつからですか?

金原 一緒にバンドを組んでいたリードギターの友達が、X JAPANさんをコピーするような上手な子だったので教えてもらいたいなと。それで僕もギターを買ってX JAPANさんやLUNA SEAさんなど、90年代のヴィジュアル系バンドにハマっていきました。その友達と組んでいたバンドは4ピースで、僕はバッキングを弾くようになっていたんですけど、リードギターも自分で弾きたいという思いが強くなって、別の3ピース・バンドを組んで掛け持ちしていましたね。

※ギター遍歴やエフェクターなど、詳しくは後半に!!

──当時カバーしていたのはどんなバンドですか?

金原 それこそBUMP OF CHICKENさん、RADWIMPSさんなど、当時のシーンで王道と言われるバンドがメインです。中でもアジカンさんの曲を一番多くカバーしていました。ほかに印象深い思い出としては、軽音楽部に入って最初にカバーしたのがビートルズの「Let It Be」だったことですね。中学のときの英語の先生が、授業の始まりにビートルズを流していたのがきっかけで、先生にアルバムの音源をコピーしてもらって、サッカー部の合宿に行くときとか、ずっと聴いてました。

──現メンバーとの出会いについて聞かせてください。

金原 ドラムの櫻井とは中学が一緒で昔からの友達なんです。お互いに高校で軽音楽部に入ったことは知っていて、たまたま地元の駅で会ったことをきっかけにスタジオに入り、「一緒にバンドやろうか」という流れになりました。上原とは新宿のライブハウスで対バンしたときからの知り合いで、僕らのバンドの初期ベーシストが脱退したあと2年くらいサポートしてもらっていたんです。その後、彼自身もYUTORI-SEDAIの音楽が好きだと言ってくれたので、改めて口説き落としたら加入してくれたという流れですね。

──その3人が揃ってからオリジナル曲をSNSなどで積極的に発信していったのですね。

金原 そうですね。でも、当初は僕も櫻井も就職してサラリーマンをやっていたので、全然バンド活動ができていなかったんです。そんな中でも上原が加入してくれたから本格的にバンドを頑張るようになったし、「俺はもう音楽で頑張っていくんだ」という気持ちに切り替わったのは、上原が入ったこのタイミングでしたね。

──インディーズ時代から、かなりしっかりとしたMVを作っていましたね。バンドの演奏する姿を見せるのではなく、楽曲の世界観を女優さんが演じるMVが多かったですが、こういった部分の戦略もありましたか?

金原 はい。当時は曲の魅力を過不足なく伝えたい、そのままの形で伝えたいと思ったときに、俺らは出ないほうがいい。バンドが出ないほうが伝わると思っていましたね。ちなみに「幸せにしたいんだ」のMVは8ミリカメラ風に撮れる有料のアプリを買って、僕のスマートフォンだけで全編撮っています。

YUTORI-SEDAI – 幸せにしたいんだ -【Official Music Video】

──「すき。」と「ぎゅっとして、」の動画の再生回数がどんどん伸びて、楽曲が広がっていく様子をどう感じていましたか?

金原 めちゃくちゃ嬉しかったし、もっと頑張ろうって気持ちになりました。同時に良い意味での覚悟にもなりましたね。「インディーズで好き勝手やってていいんだ」というより、「これだけ見てくれる人がいるのだから、ちゃんと真摯に音楽と向き合っていかないとな」っていう思いはありました。

YUTORI-SEDAI – すき。【Official Music Video】

──女性目線の歌詞が多くの共感を得て話題となっていました。

金原 もともと女性目線の歌詞を多く書いていたわけではないんです。だけど友人と恋愛話や恋愛相談をしているときに、「なんか金ちゃんって、女の子っぽいよね」みたいに言われることが前からあって(笑)。ちょっと女性脳なところがあるなっていうのは、若干自分でも思うところがあったので、女性目線で書いてみようかなと思ったのが、一応のきっかけではありますね。

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