【インタビュー】Novel Core、 ポジティブなメッセージとチャレンジを注ぎ込んだ最新アルバムでのヴォーカルワークを語る

2022.08.21

取材・文:鈴木瑞穂(Vocal Magazine Web)

8月3日、Novel Coreが2ndアルバム『No Pressure』を発売した。ポジティブなメッセージが詰まった今作は、1stアルバム『A GREAT FOOL』で自身の過去や孤独と向き合い、ネガティブな感情を受け入れたからこそ、本当の意味でのポジティブを歌えるという気付きから生まれた1作。

今回Vocal Magazine Webでは、1stアルバム発売以降、精力的に活動してきたライブの話から、最新アルバムでの歌唱表現やヴォーカルワークまで、進化し続けるNovel Coreの現在地について深堀りした。【インタビューの最後に素敵なプレゼント情報あり】

本当の意味での自由やポジティブを理解できるようになった

──新作のアルバム『No Pressure』はポジティブなメッセージが詰まった1枚だと感じました。どんな想いを込めたのですか。

Novel Core 前作の『A GREAT FOOL』も含め、今までわりと過去と向き合ったりネガティブとされているモノに対して、“なんか嫌だな”とか“消してしまいたい”という感情を歌ってきました。でも今は、その当時味わったネガティブや不自由さがあったからこそ、本当の意味での自由やポジティブを理解できてるみたいな感覚があって。ネガティブや重圧(プレッシャー)自体を愛せる、許せる。そんな自分でありたいし、そんな人であってほしいというメッセージを込めて『No Pressure』というアルバムにしました。

──タイトルトラックの「No Pressure」には《大切なのは ずっと近くにあったものって》というフレーズが出てきますが、そのことに気づいたきっかけはありましたか?

Novel Core 特別な何かがあったわけじゃないんですけど、18歳ぐらいの頃に、急に幸せを追いかけるのにちょっと疲れたというか、追いかけても結局見つからないじゃんって思ったときがあったんです。そんな中、家の近所の人が優しく挨拶してくれたりすることに、“あ、幸せってこういうのかも”と感じたというか、ありふれた感情がすごく尊いことに気づいて。そういうものを幸せと思える心を持つことのほうが大事だなって考えるようになったんですよね。

──前作の『A GREAT FOOL』を発売したあと、バースデーライブ、全国ライブ、ワンマンライブと重ねていく中でも、ポジティブな感情が広がっていくような感覚はありましたか?

Novel Core めちゃめちゃありました。それこそ全国ツアーが自分的にすごく大きくて。メジャーデビュー前の曲もセットリストに入れたんですけど、“今のライブでコレ歌うか?”みたいな曲を、あえて組み込んだ状態で回ったんです。そしたら涙を流してくれるお客さんがいたり、終わったあとに“あの曲知らなかったけどすごく良かった”、“救われた”ってTwitterに書いてくれる人たちがいて。自分以上に作品を愛してくれてる人たちがいることを目の当たりにした2ヵ月間だったので、すごく救われましたし、今後作っていく音楽に対しても、届く人が必ず一定数以上はいるということを心に持ちながら、世に出し続けていきたいなと思いました。

──バースデーライブとワンマンライブを拝見し、ワンマンライブではさらに歌の力がパワーアップされていると感じました。特に声の安定感とボリュームにより進化を感じたのですが、なにか鍛えたことはありましたか?

Novel Core 実は肺活量を増やすようにトレーニングしたんです。バンドが入ると音が大きくなるのでどうしても声が負けてしまって(※ワンマンはバンドセットで開催)、1回目のリハではだいぶ聴こえなくて。本番までに頑張って鍛えました。

──具体的にはどんな練習を?

Novel Core 肺活量を鍛えるための道具が売っていて、Amazonとかでも買える「POWERbreathe(パワーブリーズ)」ってやつなんですけど、縦長の形で負荷を変えて調整できるんです。それを口に咥えて思いっきりフーッと吹く。先輩アーティストさんがやられていたのを見て僕も実践しました。けっこうしんどいんですけど、ライブ期間中は帰ったらすぐにやっていて、10回吹き続けるとか、負荷を変えながら何セットかやるみたいなことをやってましたね。

──リハの最初とやり続けたあとを比べて、肺が強くなった感覚はありましたか?

Novel Core 一番わかりやすかったのが「Metafiction」というインディーズのデビュー曲で。あの曲は人生で初めて書いたので“どこで息してんねん!”という曲になっていて(笑)。レコーディングはパンチインで録ったので、そこまで息継ぎを気にする必要がなかったんですけど、実際にライブで歌うとなると“ここは抜かないと厳しいぞ”というところがいくつかありました。でも肺活量を鍛えたおかげで、本番では1箇所以外ブレス用の歌わない位置を作らず原曲のまま歌えたので、特に変化を実感した瞬間でした。

──息の使い方も意識したりしましたか?

Novel Core 実はマイクを少しずつ変えていて、バースデーライブのときはテレフンケンで、それもすごく良かったんですけど、全国ツアーではゼンハイザーを使いました。吐息がしっかり入ってくれるマイクなので、息が出過ぎるとボワッとなるし、ブレスのコントロールは全国ツアー中に意識し始めました。ワンマンのときにはだいぶコントロールできるようになった感覚がありましたね。

──ワンマンは初のバンドセットでしたが、イヤモニのバランスも調整しましたか?

Novel Core めっちゃやりましたね……(笑)。やっぱりバンドが入ると一気に耳の中の音作りが難しくなって。ステージで左右に移動すると、自分のマイクで近くの楽器の音を拾っちゃったり、曲によっては楽器の音とKOTAくん(DJ)が出す電子音の混ざりが悪くなってしまう瞬間とかもあって、ひとつひとつ調整していきました。KOTAくんのトラックデータ自体もいじってもらって“この周波数のところはカットで”とかをコツコツやっていたので、とんでもなく大変でした(笑)。

──そのほかにバンドセットでの調整で大変だったことはありましたか?

Novel Core 生の楽器をどこに入れるかというバンドアレンジも曲によってはすごく難しくて。「A GREAT FOOL」みたいにもともとギターが入ってる曲はやりやすいんですけど、もう少し電子的な、「DOG」みたいなトラップビートのラップ曲だと、生のドラムであんなに細かく刻むのは難しかったりするので。アレンジをどっちの方向するのかはみんなと話し合いながら苦労して作った覚えがあります。

──あまり緊張してる様子は感じなかったのですが、気持ちは声の響きに影響しますか?

Novel Core いや、僕メンタルがめっちゃ声にでますね(笑)。不安なときは声が震えたり、ひっくり返ったりもしやすくて。でもツアーで同じセットリストで7ヵ所回ったことで、例えば1曲目ってお客さんのテンションに反応して自分もテンション上がっちゃいますけど、それで声を張り過ぎたりしないようコントロールしたり、少しずつ学んでいきました。

──喉は大丈夫でしたか?

Novel Core 喉の使い方に関しては、日高さん(SKY-HI)からも言われていました。僕はラップするときに仮声帯を使って喉を潰したようなしゃがれ声を出すんですけど、実際に喉が潰れてしまう声の出し方ともう少し楽に出せる声の出し方で、感覚が少し違うんです。僕は楽に出せるほうを使っているので、喉が苦しくなるということはなかったですね。

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