【インタビュー&撮り下ろし写真】宮本佳林が語る、多彩な歌表現の源にあるポリシー。“未完成でもいいというアイドル感はいらない”

取材・文:田代智衣里(Vocal Magazine Web)
撮影:松井伴実

考え過ぎず、言われたことと自分が出したいものを掛け合わせる

──2ndシングル「なんてったって I Love You / ハウリング」が6月22日にリリースされました。「なんてったって I Love You」は宮本さんの豊かな表情と声色の表現に心躍る楽曲ですね。

宮本 曲の主人公になりきりたいというのは初期から言っているんですが、今となっては音が流れたら勝手に動いちゃうみたいな感じなんです。私は元々表情の変化が大きいので、嬉しいときは嬉しい顔をするし、悲しいときは悲しい顔をします。

そのおかげで顔も歌声も変わるし、顔が変わるからこそ歌声も変わるんだと思います。表情によって声の明るさが変わるので、レコーディングでもよくディレクターさんに“歌えなくなってもいいからニコニコして歌って”と言われることがありますね。

──ミュージックビデオにはその表情の変化も詰まっていますが、撮影前は事前にどんな準備をしているのですか?

宮本 昔の努力が今、功を奏しているのかわからないんですけど、昔はミュージックビデオ撮影の前日にめちゃめちゃ鏡の前で練習していました。今の表現があるのは、そのおかげかなと思いますね。

──“ここはこういう表情をしよう”と丁寧に考えておくというよりは、その時々で湧き出てくる感覚?

宮本 そういう感じですね。特にミュージックビデオ撮影は長回しで最初から最後までリップシーンを撮るけど、2番の同じ歌詞のところを1番で使ったりもするんです。MVはおいしいところを使ってもらえるものなので、それはグループ時代もすごく意識していました。直前に考えたことをパッとやる感じで作り上げることが多いです。

──逆に、事前に決め込み過ぎないように気をつけている部分もあるのですか?

宮本 決め込んできたものが完璧な人もいると思うんですけど、私はそうじゃなくて、言われたことに柔軟に対応するタイプです。MVや映像のお仕事のときに決め込み過ぎると対応できなくなってしまうし、考え過ぎず、言われたことと自分が出したいものを掛け合わせるイメージですね。

──「なんてったって I Love You」を最初に聴いたときは、どんな印象でしたか?

宮本 私はアニメをよく観るんですけど、アニソンっぽいなと思いました。作曲欄を見たら『五等分の花嫁』(オープニングテーマ「五等分のカタチ」)の方だったので、すごく嬉しかったです。

──最初に聴いた瞬間から、こんなふうに歌いたいというイメージは湧き出てきますか?

宮本 がっちり湧き出てくるというよりは、感情的に歌ったらそうなるタイプだと思います。歌い方を意識すると伝わらない歌になっちゃうというか、作り物感が出ちゃう気がするんです。だから、音程と大体の曲のイメージ、感情の流れを掴んで歌おうと思っていました。

──レコーディングでは、いろんな声の表情のパターンを試してみたりしますか?

宮本 こんなものも録ってみようかと、ディレクターさんと相談します。中には自分自身のこだわりが強い方も多いし、それもすごく大事だとは思うんですけど、凝り固まると一辺倒になってしまうと思うんです。自分が好きな顔写真は全部同じようなものを選んでしまうのと一緒で、全部同じになっちゃうのって面白くないから。

私の中でも、“このパートは使いたい”ってところはもちろんあるんですけど、そういう部分以外は全部決めてもらっています。ディレクターさんはプロだし、いろんな曲を聴いている人なので、私自身はあんまりこだわり過ぎないようにしています。

──柔軟な考え方を心がける中でも、たまに“このパートは使いたい”と伝える部分もあると。

宮本 本当にごくたまにあります。あとは2つぐらい選択肢があって、現場のみんなで多数決をとるとか。

──最近ではどの楽曲で“このパートを使いたい”と伝えましたか?

宮本 今回のシングルではなかったんですけど、前作の「氷点下」という曲で伝えました。最後の《でも…》というパートで“こっちを使いたいです”と。

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