第8回「自身の殻を破る呪文」

アーティスト写真の撮影 最近、アーティスト写真の撮影を行ないました。ヴォーカリストという職業につくと、必ず自身の宣材写真を撮ります。プロになる前から、自身で撮影をする方がほとんどかと思います。どんなイメージで撮影をするかによって、どんな歌手なのかという第一印象が変わります。どんな衣装で、どんなポーズで、どんな表情で、目線はアリかナシか。また、写真の色味や背景はどうするか? 今回の撮影は、和楽器バンドとしてでしたが、バンドのヴォーカルとしての表情は、自分自身の見せ方だけではなく、バンドがどう見られたいかという全体感も考えて撮影をします。ヴォーカルはセンターにきますので、まず目に飛び込んでくる存在です。他のメンバーがどんな表情やポーズをしているかを気に留め、仕上がりの構図がどうなるかをデザイナーやカメラマンと打ち合わせをし、それから撮影を始めます。バンドの場合は、クールな表情をすることが多いですね。そして、和楽器バンドは衣装も特徴的ですので、衣装の良さを出すポージングや、コンセプトに合った小道具(扇子、和傘、刀、お面など)を選びます。 ソロの鈴華ゆう子としての撮影のときは、クールな表情に加えて、少し柔らかい表情をすることが多いです。「等身大の着物を脱ぎ捨てた私」というようなイメージで撮影しています。 アーティスト写真の撮影のとき、同時にオフショット撮影などもしますが、そちらは全力の笑顔で!ひょうきんな表情なども遊び心たっぷりに楽しく撮影しています。 撮影を通して、少しずつ自分の殻を破っていった 若い頃の話ですが、実は、私はもともとあまり写真を撮られることが好きではなく、カメラのレンズをまっすぐ見るのが苦手でした。言うなれば、好きな人の目を見つめることも苦手です。最初はそれと似たような照れくささがありました。イジメられたことのある過去がトラウマとなり、自分の容姿に自信が持てず、そんな気持ちが邪魔をして苦手意識につながっていました。 最初は撮られることになかなか慣れず、そんな自信のない表情では、やはりそこそこのアーティスト写真として仕上がってしまうのでした。そこから、自分の殻を破る訓練が始まります。心の中で、 「レンズの奥を見ろ」「レンズの先の世界を見ろ」 と呪文をかけるように繰り返し、そしてそれから 「私は今輝いている」「私は今最高にカッコイイ」「私は美しい」「世界が自分を見ている!」 などと、心の中で必死に自分を励まし、奮い立たせる言葉を念じたりしていたのを今でも鮮明に覚えています。そうすることで、撮影のときのスイッチを入れることに少しずつ慣れていきました。鏡の前でも、ポージングの練習をしたりしました。鏡に写る自分の目をじっと見つめ、そんな自分が鳥肌立つほど気持ち悪いけれど、それに耐え抜く!そんなことを繰り返していたと思います。 どれも私にとっては自分の殻を破るトレーニングでした。 そして、自分と相性の良いメイクさんとの出会いも大切ですね。自分に自信をプレゼントしてくれる、大きな大きな存在です。 そんな私も、人生を重ねることでトラウマからは脱出し、“自分は自分”と、とても楽に生きられるようになりました。 個人的には写真はどんどん撮っていただくのが良いと思います!確実に慣れていきます! ぜひ、自分が届ける音楽の世界観へと引き込む、素敵なアーティスト写真の撮影に、たくさんトライしてみてくださいね! 貴方は最高に美しい!!!